内容説明
損なわれた医師、医療と暴力、看護、最期、災害など7つの主題別に、生と死、理想と現実の狭間を描く14編を収録。医療と文学を繋ぐ医療人文学の視点から編まれたアンソロジー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
くさてる
20
医師、看護、患者、病気などなどの医療をテーマにした短篇のアンソロジー。なかでも、四肢と視覚を喪った男性と看護婦の間に生まれた物語がおぞましくも迫力で言葉を失うような展開になる「一口の水」(T.K.ブラウン)がすごい。癌の診断を受けた男とその妻を描いた「診断」(イーディス・ウォートン)も、思わぬ方向に転がり続けるお話のラストが苦く、忘れられない。あのコナン・ドイル「ホイランドの医者たち」が当時の女性医師への偏見とそれをひっくり返す終わり方がよかった。広いテーマだけど読み応えのある話が多く面白かったです。2020/12/06
ori
17
「都」でギッシングが面白かったので、他に読めるものを探してこの短編集。他にイーディス・ウォートン、フィッツジェラルド、ホーソン、コナン・ドイル、ベケットなどの短編も。どれも読み応えあり面白かったが、この短編集の素晴らしいのは監訳者の石塚久郎氏の解説。医師、看護師、患者それぞれの立場で起こりうる精神的な状態や、治療・看護中の3者の関係性、女性医師の歴史や背景、災害時の医療など細かい解説がそれぞれの短編の理解を深めてくれた。石塚氏が担当した同シリーズの「病」「疫病」「障害」もぜひ是非読みたい。2026/04/03
mawaji
7
病短編小説集の続編ということで手に取った、19世紀から現代にかけての医療にまつわる短編アンソロジー。登場人物たちの様子はもちろん古めかしくはありますが、やっていることや考え方は昭和に連綿とつながるものを感じます。お気に入りは「力ずく」「診断」「ホイランドの医者たち」あたり。巻末の石塚久郎先生の医療人文学に対する考察はたいへん興味深く、医療者教育のプログラムに医療人文学を組み入れることは難しければ、とりあえず本書を読んでもらえればと思いました。新型コロナウイルス感染症は全ての人を「医療従事者」にしたのかも。2021/03/25
fried_bogy
0
いやこれ面白い! 英米文学的なのって難しいようなイメージがあってあまり読んでこなかったけどやっぱ凄い人たちは凄いんだわ。117P『突然~光っていた』の描写に恍惚となり「書いたの誰? フィッツジェラルドああ~ギャツビー~超有名どころ~」てなった。著者紹介のとこ写真撮って今後の参考にします。2026/04/20
やぎたに
0
着眼点が本当におもしろい、石塚久郎氏の解説がまた有益。女性医師と植民地インドとの関係を指摘した箇所(352頁)など膝を打った。というのも、初代ハワイ主教の娘として生まれ、医師となってインドに赴任した女性のことを調べたことがあったので(彼女は回想録を出しているが入手困難なのが残念)。印象に残った作品は「一口の水」と「ホイランドの医師たち」。後者で、ドクター・リプリーがなぜ彼女のことを「ミス」・スミスと呼んだのか、その意味を考えている。SurgeonならMissでいいのだけれど。2021/05/20
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