アニメ大国 建国紀 1963-1973 テレビアニメを築いた先駆者たち

個数:1
紙書籍版価格
¥2,145
  • 電子書籍
  • Reader

アニメ大国 建国紀 1963-1973 テレビアニメを築いた先駆者たち

  • 著者名:中川右介【著】
  • 価格 ¥2,145(本体¥1,950)
  • イースト・プレス(2020/09発売)
  • ポイント 19pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784781619125

ファイル: /

内容説明

アニメに憧れたマンガの神様の“功”と“罪”
宮崎駿、高畑勲らが台頭した東映動画の躍進。エイケン、東京ムービー、タツノコプロ、ピープロ、スタジオ・ゼロなどの誕生。手塚治虫による虫プロ設立から倒産まで――その10年にわたる黎明史を描く。日本テレビアニメ史の決定版!
過酷な制作環境の中で、「動くマンガ」に執念を燃やし、テレビアニメ産業を創出した情熱家たちの物語。


マンガ×SF×週刊誌×テレビ――メディアミックスで「アニメ」が生まれる軌跡!

 テレビアニメの歴史が、間もなく六〇年になろうとしている。
 最初の国産連続テレビアニメは、一九六三年一月一日放映開始の『鉄腕アトム』であり、この年が「テレビアニメ元年」となる。『アトム』が大ヒットすると、早くもその年の一〇月に『鉄人28号』、一一月に『エイトマン』と『狼少年ケン』が始まった。
 『鉄腕アトム』は手塚治虫のマンガを原作とし、手塚治虫が創立した虫プロダクションが制作したテレビアニメである。手塚治虫は戦後のストーリーマンガの始祖であると同時に、日本のテレビアニメの創始者でもあった。
 テレビアニメ『鉄腕アトム』放映開始四年前の一九五九年春、小学館の「週刊少年サンデー」と講談社の「週刊少年マガジン」が同時に創刊された。「サンデー」「マガジン」創刊により、「少年雑誌」は週刊誌時代を迎えた。この二誌の創刊号の発売は一九五九年三月一七日で、四月一〇日に「皇太子(平成時代の天皇)ご成婚」があり、そのパレードを見るために、多くの人がテレビを買った。
 一九五九年の「ご成婚」から六四年の東京オリンピックまでの五年で、ほとんどの家庭がテレビを持つようになった。テレビの普及は人びとの生活を、「月」単位から「週」単位へと変え、出版社はそれに合わせて週刊誌を次々と創刊した。
 そのテレビ・週刊誌時代に勃興した新しい文藝ジャンルが、週刊誌の連載マンガであり、テレビアニメだった。
 日本のテレビアニメは、創始者である手塚治虫がマンガ家だったこともあり、マンガと密接な関係を持ちながら発展していく。テレビアニメの大半はマンガを原作にしており、オリジナル作品であっても、マンガ家によるコミカライズが雑誌に連載されるケースが多く、最初期からメディアミックスがなされていた。
 この本はそのテレビアニメの黎明期を歴史として描くものである。
 約六〇年の歴史を持つテレビアニメの「黎明期」とはいつまでなのか。本書では、虫プロダクション倒産の一九七三年を黎明期の終わりと定義する。そして、直接の後日譚として、『宇宙戦艦ヤマト』までを描き、黎明期から拡大期への移行を確認して終える。
 黎明期のさらに前、敗戦直前の映画館から物語は始まる。群像劇となるので主人公はいないが、しいて挙げれば、手塚治虫が中心になる。〈「はじめに」より〉


【目次】
第1章  手塚治虫が見たアニメ史
第2章  テレビ時代到来
第3章  最初の手塚アニメ『西遊記』
第4章  「虫プロ」への道
第5章  『鉄腕アトム』革命前夜
第6章  トキワ荘再結集「スタジオ・ゼロ」
第7章  「TCJ」と若きSF作家たち
第8章  出遅れた「東映動画」
第9章  「ピープロ」参入、「東京ムービー」設立
第10章 〈宇宙SFブーム〉と「タツノコプロ」
第11章 ライバルは〈怪獣ブーム〉
第12章 『オバQ』から『パーマン』へ
第13章 『009』の孤独な闘い
第14章 海外児童文学のアニメ化『ムーミン』
第15章 〈スポ根〉の熱狂
第16章 『ルパン三世』で始まる新時代
第17章 『マジンガーZ』と玩具ロボットの蜜月
第18章 〈建国の英雄〉の退場

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

keroppi

73
一切画像もなく、500ページ弱の本ながら、大量の参考文献から読み取るTVアニメ10年の記録は、その最中にいた人々の希望と思惑と失望と失墜を描いている。手塚治虫を中心に置きながら、その時代のアニメプロダクションと作家たちやプロデューサーたちがどう考え、動いたのかを可能な限り描写する。この10年といえば、私にとっては小学生から高校生になる時期で、ここで綴られるアニメに熱中していたのだ。その裏でこんなことがあったとは。子供の夢の裏には大人の都合も多々あったのだ。これだけのことが、たった10年で起こったのか。2020/10/10

へくとぱすかる

67
ほぼ一週間かかって読む。分厚いだけではなく、内容が濃くて、興味津々な話が、続々と登場。細々と始まった日本のアニメを急展開させたのは、やはり「鉄腕アトム」であり、有望な産業として確立させただけではなく、放送やメーカーの在り方さえ変えていった。約10年間のテレビ・映画両方のアニメを網羅し、マンガも含めた複雑な力関係を描ききって、まさに圧倒される。手塚治虫さんがアニメ界の低待遇をもたらした、という俗説が誤解であることも明らかにされる。何よりも「そうだったんだ!」と、テレビアニメ誕生の歴史自体がドラマだったのだ。2021/03/30

ゲオルギオ・ハーン

27
手塚治虫を中心に『鉄腕アトム』の誕生の前段階の説明から入った日本のアニメが急成長した10年間を書いた一冊。文献はもちろんのことインタビュー記事から得た情報は他の人物のインタビュー記事とも照らし合わせて整理し、事実関係の信憑性にも検討しているので読んでいてストレスがとても少なく快適に読めました。『鉄腕アトム』から始まるテレビアニメシリーズ誕生と発展の歴史を追うだけでも楽しく、各制作会社の興亡があり、アニメーターの低賃金の起源も書かれているのでこれ一冊で日本アニメ史について様々なことを知ることができます。2020/12/08

Mc6ρ助

15
『一九六三年 手塚治虫という才能と情熱とそれなりの資金を持っていた、ひとりの青年によって、「テレビアニメ」という新しいジャンルの文化が生まれた。それは、一〇年もたたずして巨大な産業に発展した。(p473)』まさしくアニメに憧れたマンガの神様の功と罪。とはいえ産業の勃興期、「わきまえた男」ではない男たちの物語、女性は2名しか登場しない。それも「朝ドラ」のヒロイン達のモデルだからと思われる、女性アニメーターは多かったと仄聞するのだけれど。2021/02/18

しんい

6
手塚治虫を中心とした、戦後すぐから1970年代中盤までのアニメ(テレビまんが、マンガ動画)史。戦前からのアニメーション、貸本マンガ、戦後の少年少女マンガなどの複数のルーツから、天才漫画家手塚のアニメ熱もひとつの大きな原動力に、アニメ業界が立ち上がっていく。登場人物が膨大で、筆者の定型か生まれ、父の職業、学歴と主な作品の紹介が続きところもあり読みやすくはない。それでも子供時代に地方局で再放送を観た作品も多く、梶原一騎や永井豪など、一時代を築いていたことを体系的に理解。アニメ事業は組織力であることを痛感。2020/11/14

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/15999899
  • ご注意事項