講談社現代新書<br> 動物裁判

個数:1
紙書籍版価格
¥1,034
  • 電子書籍
  • Reader

講談社現代新書
動物裁判

  • 著者名:池上俊一【著】
  • 価格 ¥891(本体¥810)
  • 講談社(2020/09発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784061490192

ファイル: /

内容説明

法廷に立つブタ、破門されるミミズ、モグラの安全通行権、ネズミに退去命令……13世紀から18世紀にかけてヨーロッパに広くみられた動物裁判とは何だったのか?自然への感受性の変化、法の正義の誕生などに言及しつつ革命的転換点となった中世に迫る「新しい歴史学」の旅。

目次

●めずらしくなかった動物裁判
●ヨーロッパ各国にのこる史料
●バッタ、ミミズも裁かれた
●ブタの「現行犯」
●ヴィクトル・ユゴーのヤギ裁判
●モグラに安全通行権を
●未成年とみなされた毛虫
●人間中心的感受性の時代に……
●魔性を失った森
●「宇宙の自然」と「人間の自然」
●中世合理化運動の落とし子
●神のおりきたる樹

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

はっせー

142
とても興味深く、人が動物を裁くという今の世の中にない制度は研究しがいがあると思った!動物裁判と聞いてもどんなものが想像しにくい。簡単に言えば動物が人間を殺傷してしまった時に裁判で刑を決めるのである。法学を勉強している身からして、嘘でしょ!って思った。だが本を読み進めると当時の世界や慣習法概念などを理解することによってなんとなく全容がわかった。だが何故かこの裁判が始まったかわからない。証拠も不浄だから焼けてしまった。だがいまとなっては稀有な存在なのでこれからも研究が進んでほしいと思ったー!2020/06/24

樋口佳之

60
前半の事例紹介は楽しく読めました。後半の種明かしの部分が修飾的表現が多すぎではと感じました。人間と自然との関係(ヨーロッパではそれにキリスト教)が変化していく中で、一時的に動物裁判しなきゃって心性が生まれる理由が合理的に説明できますってお話だと思うのだけど、難渋な部分があります。/中世停滞と暗黒の時代では無いのか!そこ勉強になりました。2023/04/27

Nobuko Hashimoto

41
本屋さん激推し。確かに面白い。中世ヨーロッパで行われていた動物を被告とする裁判。大真面目に人に対するのと同じ、正規の裁判の手続きを踏んでいたという。ブタが子どもを殺めて処刑される事例が多かったようだが、時には作物を食い荒らす虫なども裁かれた。三度召喚されても現れなければ欠席裁判となり、警告をきかなければ破門されたという。後半では、そのような裁判が行われた要因と背景を、自然、宗教、文化との関わりから説明する。前半の具体的な実証部分に比べて、やや大雑把な印象だが、中世に対する漠然とした思い込みを改めた。2020/11/08

ワッピー

35
三読目。13~18世紀のヨーロッパで広く行われた奇妙な裁判。人を殺した家畜(ブタが多い)、作物を荒らす害虫、穀物を盗むネズミ、さらには湾内に入り込んだイルカの群れ、氷河!までが人間及びその財産を脅かすものとして告訴され、処罰を受けたり、破門されたりした事象の裏にあるものは?農業革命が起きる前の森深いヨーロッパでは自然は崇拝・畏怖の対象であったが、キリスト教原理が広がり、農業の技術進歩・都市の成立・法体系の確立により、人間と自然の関係性の変遷をたどる思想史。かつて隠者が森に棲んでいた意味も深く納得。名著。2020/03/07

かんやん

29
11世紀〜18世紀西洋各国で盛んに行われた動物裁判の事例を紹介(豚が多い)、なぜこのような裁判が行われたのか、擬人化説、パロディ説、威嚇刑説、人類学的解釈を排し、キリスト教化とテクノロジーの進展(水車、風車、重量有輪鋤、三圃制)による自然観の変化に原因を求める。自然は畏怖から支配の対象へと変わったという。非合理で滑稽な風習ではなく、法の普遍的適用としてある意味で合理的であったとする。なんだか概念的図式的な説明で、読んでいて腑に落ちない。第一、飢饉をもたらす害虫(自然)への宗教裁判(呪い、戒告、破門)と、→2021/12/03

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/471716
  • ご注意事項