内容説明
大好きな人を笑顔にするのは、手作りおやつ。
「シュークリームは天使だ」「苺は誘惑のプリンセスだ」
おいしそうなものを見ると、思わず語ってしまう変な「くせ」を持つ高校二年生の桐原陽平は、調理部唯一の男子部員。顔も体も四角く、全体的にごつい上に無口なため、はじめは完全に浮いていた。部活で食べ物を目の前に語りだし、部員全員を引かせたが、優しく声をかけてくれたのが希歩だった。今では仲良しカップルとなった二人の出会いだ。
陽平の入部のきっかけは、家でのごはんづくりに役立てるため。小学生の頃に母と死別し、父と八つ年下の弟・朋樹と三人で暮らす陽平は、父と交替でごはんを作っているのだ。ときどき希歩が家に遊びに来て、朋樹と三人で料理をする。朋樹が「大きくなったら希歩ちゃんに告るから」と宣言したため、兄弟は恋のライバルでもあった。
母親の記憶がない朋樹のために、料理の苦手な母がつくったごはんを再現する「お母さんの日」の揚げパン。風邪をひいた希歩のために、陽平がつくる「すりおろしタマネギのスープ」……。温かくておいしいおやつとごはんが家族と恋人をやさしく包む、ハートウォーミング青春小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
mocha
74
高校生の陽平は、小さい弟を甲斐甲斐しくお世話する優しいお兄ちゃん。食べものを前にするとポエムをつぶやいてしまうというヘキがある。かわいい彼女と弟と共に、食べること作ることがくれる優しい時間。亡き母は料理が苦手だったけれど、それでも美味しい思い出が家族を繋いでいる。出てくるのは何気ない料理やスイーツで、どれもとても美味しそうだった。2020/09/23
anne@灯れ松明の火
32
遠い方の新着棚で。優しい表紙とタイトルに惹かれて。亡くなった母の代わって、料理を頑張る高校生・陽平。調理部に入ったお蔭で、誰もが羨む希歩が彼女に♪ 年の離れた弟・朋樹は希歩の大ファン。お菓子や料理をテーマに、3人のほのぼのとした話。でも、実は皆心の傷も抱えている……。腕白でわがままもいっぱいな朋樹が思いを吐き出すシーンは涙。陽平ががっちり受け止めてくれて良かった。希歩も陽平が隣にいてくれたら、きっと大丈夫。「日本おいしい小説大賞」応募作の書籍化だそうだ。いろんなコンクールがあるんだなあ。2021/01/24
よっしー
25
タイトルと温かな表紙絵にひかれて手に取りました。母を亡くし弟を育ててきた男の子と、問題を抱えた母がいる女の子。少し周囲とは違う苦労をして来ているけれど、それを悲観的になるでもなく日々過ごしているほのぼのとしたカップル。弟の無邪気なようできちんとした考えも持っている所が可愛くて好きでした。日常にふとした幸せをみつけられる、そんな彼らをこれから先も応援したいです。心暖まる素敵な作品でした。2023/06/26
keith
23
高校生の洋平、小学生の朋樹の兄弟と洋平の彼女希歩の3人のほのぼのとした話。希歩は家庭環境に悩みを抱えてます。悩みの内容が結構ハードやと思いますが、割とあっさりと書かれてます。中学生か高校生向きかな。2020/10/20
ツン
17
お兄ちゃん、いい子すぎる。そして彼女と弟を含めた3人の関係が素敵すぎる。2020/12/04
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