内容説明
ハーバード大学を卒業した著者は、ロースクールへ進む前に、アメリカ南部の最貧地域の町で2年間、ボランティアの教師となることを決める。だが、劣悪な環境で育った黒人の生徒たちに読書を通じて学ぶ楽しさを教え、誇りを持たせたいという著者の理想は、最初からつまずく。読書以前に、生徒たちの読み書き能力は年齢よりはるかに劣っていたのだ。自治体に予算がなく人々に職のない小さな町で、生徒は将来を思い描けず、学校は生徒を罰することしか考えていない。それでも著者の奮闘の甲斐あって生徒たちは本に親しみはじめるが、当局の方針によって学校が廃校になってしまう。
ロースクールへ進んだ著者はある日、もっとも才能のあった教え子、パトリックが人を殺したという知らせを受ける。数年ぶりの彼は読み書きもおぼつかず、自分が犯した過ちに比べて重すぎる罪に問われていることが理解できていなかった。かつての聡明さを失った姿に衝撃を受けた著者は、拘置所を訪ねてともに本を読むことで、貧困からくる悪循環にあえぐ青年の心に寄り添おうとする。同時にそれは、ひとりの教師・法学生の自己発見と他者理解をめぐる、感動的な記録ともなった。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
98
著者は台湾系アメリカ人。ハーバード大学出身の超エリートでありながら、貧困地域の底辺校での教育に身を投じる。そこで出会ったパトリックという少年が殺人の罪で拘置所に入った後、読書を通じて少年の成長を支援し続けた著者の実話である。自らの行為を、ただの願望・妄想・自己満足ではないかと悩み続ける著者の誠実さに向き合う、辛くて苦しい一冊だった。パトリックは、最後に、ジェイムズ・ボールドウィンを読破するまでになるが、決してハッピーエンドではない。読み終わってもモヤモヤ感は消えない。そこに人種差別問題の根の深さがある。2020/06/26
アキ
86
お互いに本を読むことで語り合うこと、読書によってこれ程までに成長するパトリックの姿は著者の想像をはるかに越えたもの。しかし詩のことばを求めることや手紙による書くことが、罪への贖ないによるものであるからこそ、切なく、ついにはそれが生かされることはない。ことに現実の職を得る過程において。ただ内面の成長がみられるのみ。それを一番身近に感じた著者が、彼と離れ、再び見えるときもどかしい思いに捉われるのも、教師という立場では自ずと限界があるものだから。それでも、この10年もの間の2人の現実の記録はかけがえのないもの。2020/07/03
ヘラジカ
84
これは本当に素晴らしい本。今年に入ってから読書で心動かされる瞬間は何度もあったが、この作品ほど読んでいて頻繁に揺さぶられる本はなかったように思う。社会の最下層に押し込められてしまった人間と、読書や言葉の教育によって通じ合う。そんな単純でひたむきで無私な取り組みが、パトリックのみならず作者自身の内省や成長へと繋がっていく奥深さ。ただの救済の物語ではなく、一人の女性が真の教師、他者を理解する人間へと変わる過程が描かれた自伝としても読める。心から多くの人に手にとって貰いたいと思える作品。読書会で紹介したい。2020/05/11
藤月はな(灯れ松明の火)
81
台湾系アメリカ人というマイノリティだが、ハイレベルな教育を受けて育ったミシェル・クオ。理想に燃えて両親の反対を押し切り、デルタの高校教師に着任する。子供たちに読書や詩作の素晴らしさを伝えながらもその才能が開花したパトリックに目を見張る事になる。しかし、ロースクールに戻ったミシェルはパトリックが殺人を犯した事を聴く・・・。親の都合で学校に通えず、退学するしかない家庭事情。黒人が黒人を殺した事が大したことじゃないとされる事。黒人の犯罪では無罪ではなく、懲役が少しでも短縮されれば御の字とする弁護士達の見解。2021/12/03
ネギっ子gen
78
【私は本に教わった。私を変えたのも、私にさまざまな責任を引き受けさせたのも本だった。だから、生徒の人生も本で変えられると信じていた】 著者は、台湾系移民の娘でエリート法学徒。彼女は大学4年の時、進路に悩んだ末、米国南部の最貧地域の町の底辺校で読書を通して黒人文学や歴史を教えたことがある。だが、彼女が大学に戻った後に、才能のあった教え子・パトリックが人を殺したの知らせ。2年ぶりに再会し、かつての聡明さを失った姿に衝撃を受けるも、拘置所に通って彼と一緒に本を読むことに――。うん。『ナルニア国物語』を読もう。⇒2023/03/16
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