内容説明
波瀾万丈の古典名作の傑作SFパロディー。……平等革命で高度に自動化した天球星社会は、現実には官僚の個人的裁量で左右され、賄賂が決め手という腐敗社会に変貌していた。そこに現われた9人の闘士。〈水滸百八〉の謎、〈九天玄女〉によって語られるその真相、〈闇の霊〉との対話――物語は勇壮に展開していく……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MICK KICHI
59
⭐️⭐️ 星2個(5個中)。チョットしんどかった。SF設定では原作の雰囲気が出せなかったのか、広げれば面白そうな部分もあり残念。2020/01/31
hatohebi
3
再読。宋公明の特殊能力や108人の設定や「敵」の意外な正体などSF的な要素に注目。前作『SF西遊記』でも、システムの限界を超えるためにお釈迦様の脳が必要だという話があったが、作者には社会工学的な発想があるのかもしれない。他のレビュアーの方も指摘していたように、天球星は官僚支配の徹底した典型的なディストピアだが、今読むと戯画というより現実と地続き感がある。上位層ほど無責任で放埓になり、いかに下から絞り上げるかしか考えていないとか、女性への性的暴行を行っても平気な顔だとか。既に「闇の霊」に支配されているのか。2017/11/19
はにまる
2
原典は読んだことないが、登場人物名など、水滸伝をなるべく忠実にSF化しようとしている印象。冒頭登場人物が宇宙空間で不可思議な宇宙船と遭遇するくだりは、キャラ名がみんな中国人名だったりするので、「三体」を彷彿させる。前半の主人公たちがいわゆる梁山泊へ集う展開は、定番であるがやはりワクワクする。が、集まった以降は消化試合のような感じで、前半ほど引き込まれる感じがなくなるのはこのフォーマットの宿命か。2022/07/10
冬至楼均
0
前作(SF西遊記)でも見られた官僚批判が全開。パロディとしては必ずしも成功しているとはいえませんが。(原作が必ずしもハッピーエンドじゃないからねえ)2011/12/06