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内容説明
平成とはどのような時代だったのか。そして、令和はどのような時代になるのか―。『資本主義の終焉と歴史の危機』で歴史の転換を明示した水野和夫教授と、政権与党時の民主党ブレーンとして政治の内側を見てきた山口二郎教授が語り尽くす。まず、平成三一年間を六つの時代に分けて分析。そのうえで平成を総括し、今後を予測・提言する。見えてきたのは、日本が資本主義を“卒業”していく過程であり、政治が大きく変質・劣化していく様だった。歴史的に未知の領域に入ろうとしている現在の日本。両名の主張に刮目せよ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おさむ
37
2人の論客が平成の政治と経済を読み解く。分量も適度で数多ある平成振り返り本の中ではオススメ。気になった言葉は、アメリカのオフセット(相殺)戦略、拓銀破綻は大蔵省の社会実験、拉致問題で被害者の立場を手に入れたのが日本のナショナリズム拡大のきっかけ、小泉以降の自民党はリスクの社会化を個人化にすり替えた、日米安保は戦後日本の国体、1バレル70ドル超は日本経済の危険水域、いまは停滞ではなく成熟、これからはより近く、ゆっくり、寛容にという思考が大切。21世紀の課題は分配で市場ではなく政治で解決するしかない。2019/10/22
trazom
35
平成を6つの時代に分けて分析する両先生の切り口は、明快で小気味よい。「成長しないなら資本主義から卒業しろ」と水野先生は言い、「グローバリズムは民主主義と不適合だ」と山口先生は言う。「経済学はモラル・サイエンス」であり「民主主義を支えたのは相互的寛容と自制心」であった良き価値観が崩壊したのが平成時代だったとすると、今まさに、社会の倫理を取り戻す新たなイデオロギーが必要なのかもしれない。成長神話を捨て、「日本経済は停滞しているのではなく、成熟しているのだ」と認識できる社会システムとは、どんなものだろうか。2019/06/19
kawa
33
平成が実に激動の時代だったかを再認識。そんな時代をアンチの立場で弁ずる論客二人。水野氏は経済面から相変わらずの説得力。100%賛成とまでは理解できないのだが…。将来のGDP25%減、人口8000万人も一人当たりGDPは増えるのだから悲観的になる必要はないには勇気付けられる。一方政治を論ずる山口氏、民主党応援団として高名な方として理解なのだが、「人の使い方が下手」だったと民主党を評するには絶句(政治学の守備範囲ではないかもですが)。平成の世で最もがっかりしたのは民主党政権の体たらくなのですが…、私は。2019/07/07
ゆう。
27
政治学者と経済学者が、平成という時代は国民にとってどのような時代だったのかをやりとりする。新自由主義が蔓延り、民主主義が危機に直面するなかで、日本資本主義が終焉をむかえようとしていることが指摘される。立憲主義に立つ政治と経済が求められている。2020/01/02
hk
20
「1990年代に入り、日本わけても政治においてWW2が語られる機会がとみに増えた訳(河野談話や村山談話) ①昭和天皇が崩御し先の大戦をかたることへの抵抗が減った ②還暦をこえた政治家が、戦争を知っている自分たちの世代で決着をつけなければと息巻いたため(真実を知っていたかどうかは甚だ怪しいが…) ③自虐教育を受けた団塊世代が社会で要職に就き始めた」 この知見はイタダキである。特に昭和天皇の崩御によって大戦語りの自粛がとけたという指摘は鋭利だ。確かに昭和の御代が終わった途端に、大戦の反省が噴出したように思う。2019/07/30