講談社学術文庫<br> イタリア・ルネサンス再考 花の都とアルベルティ

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講談社学術文庫
イタリア・ルネサンス再考 花の都とアルベルティ

  • 著者名:池上俊一【著】
  • 価格 ¥1,100(本体¥1,000)
  • 講談社(2020/09発売)
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  • ISBN:9784061598157

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内容説明

花の都フィレンツェの驚異的絶頂の世紀を描く
万能の文化人アルベルティとともに、ヨーロッパを照らした「人文主義」の光源を探る

輝かしき15世紀(クアトロ・チェント)。繁栄をきわめるメディチ家と有力家族たちが、パトロンとなって花開く芸術。贅美溢れるモノの帝国にして、聖なる雅都となったフィレンツェ。社交と祝祭、聖と俗、科学と魔術、中世と近代が渾然一体となった都市を動かしていた思想とコードとはなにか。ダ・ヴィンチをして劣等感に臍を噛ませた万能人アルベルティを通して描く新ルネサンス像。〈解説・山崎正和〉

聖ベルナルディーノの言葉「イタリアは世界でもっとも知性的な祖国、トスカーナはイタリアでもっとも知性的な地方、そしてフィレンツェはトスカーナのもっとも知性的な都市である」は、わたしの確信を代弁している。昨今では、フランスやドイツやイギリスのルネサンスを、イタリアとひとまとめにして連続的に論ずる流儀がはやりのようだけれど、あんな北方の、田舎臭い文化活動、青白く屈折した意識の覚醒を「ルネサンス」と呼んで、個人と家族と都市がスクラムを組んで絢爛たる文化を開花させたイタリアと一緒にしてほしくないものだ。――<「あとがき」より>

目次

第1章 メディチ家の世紀
第2章 聖都フィレンツェ
第3章 魔術としての遠近法
第4章 建築・自然・エロス
第5章 女と子供の居場所
第6章 変貌する家族と個人
第7章 ユマニスムとルネサンスの精神

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kthyk

18
再考とは、いいテーマだ。レオン・バッティスタ・アルベルティ(1404〜1472)絵画論でも建築論でもなく、彼の20代の著作家族論を紹介している。ディレッタント建築家でもある彼、「ユマニスムの意義は、日本ではまだほとんど一般的には知られていない。16世紀のヴァザーリらによって下された、現場体験のない机上の建築家という辛辣な評価が、まだまだあちこち影を落としているる。」自然科学者、数学、天文学者、音楽家、画家、彫刻家、建築家、詩人、哲学者、文学者、アスリート。彼の家族論は珠玉、近年、ようやっと翻訳出版された。2021/06/10

壱萬弐仟縁

6
拝金主義の横行の節(45頁~)。フィレンツェも成功した都市なのだろうが、多額の金が巷に出回っていたようだ(46頁)。日本にはお金が出回らないので金融緩和とかいっているが、既に内部留保のような多額のお金はあるところにはあるのに、庶民いじめなのが真逆に思える。商人ジョヴァンニ・モレッリは15世紀初頭、お金さえあれば人もついてきて名誉も真実さえも手に入ると説いたという。そんな世の中だから人間関係が裏切りなどでぎくしゃくしてしまうが。アルベルティは乳母が誠実で善良な人を選ぶのが困難という(149頁)。世相が影響?2013/03/12

富士さん

2
再読。「人は思ったものに何でもなれる」という無邪気なセリフに殺意を感じたのがL.B.アルベルティという人との出会いでした。西洋絵画技術に基礎を持った表現について掘り下げていくと不回避的に現れて来るので、またこの人と邂逅しました。本書の主旨は、人文主義というものが、自然にならうことによって国を、家族を、個人を芸術的に作り上げるという目標を設定し、愛国心や家族の絆、信仰心が失われ、バラバラになった社会を再構築しようとする運動なのだ、と読みました。先の言葉は、そんな運動の宣言として読んでもいいのかもしれません。2016/08/31

ryo_zz

0
ルネサンスを概説する本ではなく、アルベルティの論を紹介しながらルネサンスを支えた思想ないしヒューマニズムを再考する書。2011/08/13

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