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内容説明
霊や魂に関心が向けられなくなった今、日本人の精神はどこに求められるのか? 国学者・本居宣長は、漢意(からごころ)や儒意(じゅごころ)の知性より大和魂の知恵が肝要だと説いた。日本的反知性主義である。幕末、尊皇攘夷の思想と結びついた大和魂は、戦争を契機に大いに叫ばれ、日本人の勇猛果敢な精神と捉えられた。近世から近代にかけて強い関心が集まった大和魂だが、現在の日本人の精神はどこに求められるのだろうか。グローバル化が成熟する今、日本での霊や魂の変遷をたどりながら、大和魂のゆくえを探る。
目次
はじめに
第一章 現在の問題として考える
第二章 大和魂とは何か
第三章 国学、本居宣長が考えたこと
第四章 平田篤胤による魂のゆくえ
第五章 国体、吉田松陰を軸として
第六章 戦争が大和魂を叫ばせた時代
第七章 大和魂の帝国
第八章 柳田國男がまとめあげた先祖という神
第九章 首だけの三島由紀夫
おわりに
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Go Extreme
2
現在の問題として考える: 西のゲルマン魂と東の大和魂 戦争と深く結びつく 大和魂とは何か: 和魂漢オということば アニミズムの思想 神の四つの性格 一神教の魂や霊 国学、本居宣長が考えたこと: もののあはれという考え方 他国に優る国 平田篤胤による魂のゆくえ: 学問に対する異様な情熱 多様な人間関係のネットワーク 国体、吉田松陰を軸として: 大和魂の男子 国学と水戸学 戦争が大和魂を叫ばせた時代 大和魂の帝国 柳田國男がまとめあげた先祖という神 首だけの三島由紀夫 自衛隊員の魂 中身を欠いていた思想と行動2022/01/05
カツ
1
良くも悪くも深掘りし過ぎていて、「大和魂」云々からはかけ離れてしまっている内容が多いと思う。なので、ページ数が多い割には結局何が言いたいのか良く分からなかった。自分としてはハズレ本でした。2022/12/11
志村真幸
0
本書は、神話研究、古典学、思想史、民俗学から、日本における「大和魂」の歴史を再構成したもの。 タイトルから予想される内容とは、かなり印象が違う。もともとの大和魂は中国的なメンタリティに対置されるもので、生活上の知恵をさしていたことなどは、あまりにも意外だろう。 また、そもそも日本における「魂」とはどのように想定されてきたものなのか、本居宣長や平田篤胤における思想、近代になって折口信夫や柳田国男が祖霊信仰を研究することで描き出した日本人の魂とはどのようなものだったのかなど、刺激的な話題に満ちている。2020/06/06