人の暮らしを変えた植物の化学戦略 - 香り・味・色・薬効

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人の暮らしを変えた植物の化学戦略 - 香り・味・色・薬効

  • 著者名:黒栁正典
  • 価格 ¥2,640(本体¥2,400)
  • 築地書館(2020/08発売)
  • ポイント 24pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784806715962

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内容説明

トウガラシはなぜ辛い? 日本三大民間薬とは? 植物由来の物質が、抗がん薬に使われる? 人間が有史以前から、生活のために利用してきた植物由来の化学物質。それは植物が自身の生存のために作り出した二次代謝による産物であり、我々はその多様な物質から、香り、味、色、そして薬効などさまざまな恩恵を受けてきた。人の暮らしを支える植物の恵みを、化学の視点で解き明かす。

目次

はじめに

第1章 植物が支える地球の生命
生命誕生と進化
炭素循環と窒素循環
生物の2つの代謝
一次代謝――生命維持のための基本的な代謝
二次代謝――植物と微生物の化学戦略
生合成経路による二次代謝産物の分類
テルペノイド――多彩な炭素骨格を持つ/ポリケタイド――抗生物質の宝庫/フェニルプロパノイド――環境問題にも関与/
フラボノイド――食べて健康維持/アルカロイド――強い生理活性で毒にも薬にも/混合経路による誘導体――大麻からビールまで
植物の生存戦略
植物間の戦い――生育立地をめぐって
微生物との戦い――ファイトアレキシン
植物の生理を操る植物ホルモン
食害との戦い――刺激物質や有毒物質
微生物・昆虫・鳥と助けあう
■コラム1 食物連鎖

第2章 鳥・虫・人を引きつける香りと甘味
食事や生活環境に潤いを与える香気物質
バラ/ユリ/キンモクセイ、ジンチョウゲとクチナシ/ラベンダーとジャスミン/柑橘類/スイセン/スズラン/バニラとシナモン
甘いものは別腹
糖による甘味
糖以外の甘味物質
ステビア/カンゾウ/アマチャヅル/ラカンカ/アマチャ/ヘルナンドルシン
甘いタンパク質
味覚を変えるタンパク質
■コラム2 エネルギー源としての糖
■コラム3 人工甘味料
■コラム4 味や匂いを感ずる仕組み

第3章 食害忌避の辛味と刺激物質
スパイスとハーブ
食事に深みを与えるスパイス
日本人になじみ深い辛味物質
トウガラシ/ワサビ/カラシ/コショウ/サンショウ/ショウガ
世界中で食文化を支えるスパイス
ガーリック/ターメリック/サフラン/アニス/カルダモン/キャラウェイ/クローブ/スターアニス/
フェンネル/コリアンダー/ディル/クミン/ローリエ
健康や料理と関わるハーブ
ハッカ/バジル/タイム/レモングラス/オレガノ/ローズマリー/セージ/チャイブ/ナスタチウム/クレソン/シソ/カモミール
生活を豊かにする苦味物質
コーヒー/お茶/ビール/チョコレート/ウリ科、ゴーヤ/柑橘類

第4章 花や果実の色素を楽しむ
植物色素は子孫繁栄のための化学戦略
生活に彩りを与える植物色素
アントシアニン/フラボノイド/ベタレイン/カロテノイド/アイ/ベニバナ色素/クチナシ色素/アカネ色素/
スオウ、ブラジルボク、ロックウッドの色素/草木染め
■コラム5 植物の学名

第5章 植物基原食品の機能性物質
生活習慣病
食品の機能
食薬区分
機能性を表示できる食品
活性酸素と疾病リスク
抗酸化活性を持つポリフェノール
抗酸化の仕組み
植物由来の二大抗酸化物質
フラボノイド
フラボノール/フラボン/ジヒドロフラボノール/フラバノン/ポリメトキシフラボン/イソフラボン/茶カテキン/レスベラトロール
カロテノイド
β-カロテン/ルテインとゼアキサンチン/リコピン/アスタキサンチン/フコキサンチン/β-クリプトキサンチン
テルペノイド
フェノール性誘導体

第6章 植物は生薬の宝庫
薬用植物
生薬
名前のよく知られた生薬
サイコ/ニンジン/トウキ/ダイオウ/センナ/タイソウ/オウギ/オウバク/オウレン/キキョウコン/レンギョウ/
サンキライ/センキュウ/ブシ/ザクロヒ/クコ
身近な植物が薬用に
ドクダミ/センブリ/ゲンノショウコ/オオバコ/アケビ/ヨモギ/ウンシュウミカン/クズ/アロエ/ボタンとシャクヤク/
キク/チガヤ/ヤマノイモ/スイカズラ/クワ/タンポポ/アサガオ/キカラスウリ/ハトムギ/イチョウ/カリン/ホオノキ/モモ/サクラ
■コラム6 チンパンジーの薬
■コラム7 日本で体系化された漢方
■コラム8 日本薬局方

第7章 植物基原の医薬品
小さな巨人アスピリン
植物基原の抗がん薬
タキソール(パクリタキセル)/イリノテカン(カンプトテシン)/ビンカアルカロイド/エトポシド(ポドフィロトキシン)
生理活性の強いアルカロイドは医薬品に
モルヒネ(アヘン)/抗マラリア薬/トロパンアルカロイド/コカイン/ラウオルフィアアルカロイド/エフェドリン/d-ツボクラリン/
フィゾスチグミン/ロベリン/ガランタミン
アルカロイド以外の植物基原医薬品
海人草とサントニン/プラウノトール/グアイアズレン/センノシド/ジクマロール/強心配糖体
■コラム9 医薬品開発

あとがき
用語解説
参考文献
索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

俊介

15
フラボノイド、カロテノイドなどの人間に有用な植物の二次代謝物質について詳細に紹介した本だ。身近な植物からハーブ、生薬といわれるものまで扱う範囲が広く、貴重な情報は多く含まれているのだろうが、事実羅列型の記述であるため、読んでてわくわく感はなかったな。事典的につかうのがベストだと思う。2020/04/29

うみ

6
むずかしい……。初めの方で挫折しそうになること多々。植物の個々の解説からは加速がつく。植物の諸々辞書として活躍するはず!2021/03/11

4
植物って思ったよりずっとダイナミックだなと思う2025/10/19

しかくい

2
とりあえずサッと読んだ。あとがきにもある様に少し雑多な印象を受ける内容。どんな植物にどんな特徴があるか、どこ原産か、人間の生活にどの様に使われているか。とか、特に有名な薬理成分はどんな効能を持つかとかが延々と書かれている。分野的には農学、理学、薬学、医学、栄養学それからたぶん民俗学、工学あたりの内容なんだと思う。前半は楽しかったが、最後の薬理効果は頭にはてなが並んだ。2024/11/12

夏鳥

1
さらっと読んでも勉強になるが、何回か読んで深く知りたい人向けだと思う。犬にチョコを食べさせてはいけない理由など、日常よく言われていることの理由も載っているので難しすぎる本というわけではない。また、図のところに文章が入っていて、その図の意味が分かりやすい。2022/03/21

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