英国貴族、領地を野生に戻す - 野生動物の復活と自然の大遷移

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英国貴族、領地を野生に戻す - 野生動物の復活と自然の大遷移

  • 著者名:イザベラ・トゥリー【著】/三木直子【訳】
  • 価格 ¥2,970(本体¥2,700)
  • 築地書館(2020/08発売)
  • 夏休みの締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/24)
  • ポイント 810pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784806715931

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内容説明

中世から名が残る美しい南イングランドの農地1400ヘクタールを再野生化する――
農薬と化学肥料を多投する農場経営を止め、所有地に自然をとりもどすために、野ブタ、鹿、野牛、野生馬を放ったら、チョウ、野鳥、めずらしい植物まで、みるみるうちに復活。その様子を驚きとともに農場主の妻が描いた全英ベストセラーのノンフィクション。
日本同様、農村人口が減り続ける英国での壮大な実験の記録。
『この10年でエコロジー本の指標となる1冊』(サンデー・タイムズ紙)
『2018年、最もインスピレーションを与えてくれた1冊』(デイリー・メール紙)

米国でも大反響!
スミソニアン誌10ベストサイエンスブック2018
フォーブス誌10ベスト環境ブック2018

目次

はじめに

第1章 樹齢550年の巨木と一人の男
クネップの歴史とオーク
庭園から農場へ
菌根と近代農業
忘れ去られたオーク
オークと生物多様性

第2章 私たちが農場経営を諦めるまで
農場拡大を夢見て
農場経営の破綻
新しい道筋

第3章 農地が生き物であふれかえる
躍動する生き物たち
土壌改善に着手する
庭園になくてはならないもの
ダマジカを放つ

第4章 オランダ自然保護区の衝撃
オランダの再野生化
草食動物と生物多様性
森ができる前のヨーロッパ
オーストファールテルスプラッセンでの実験
草食動物が生み出す奇跡

第5章 再野生化、実現までの険しい道のり
再野生化への野望
繰り返される「視察」と「話し合い」
根強い閉鎖林冠説
花粉学者の主張
原始ヨーロッパに広がる草原
ヨーロッパ人と森
追い風が吹く

第6章 野生のウシ、ウマ、ブタを放つ
希少品種のウシを放つ
野生馬が加わる
イノシシの代役
ブタの土壌改良能力

第7章 近隣住民の不満噴出
プロジェクトの停滞
低木とオークの苗木
自然保護活動家の矛盾
萌芽更新と低木
地元住民との軋轢
自然保護より農業生産

第8章 プロジェクトの危機
憎まれ役の雑草
やまない誤解と偏見
「不自然」なのか「自然」なのか

第9章 数万匹のヒメアカタテハの襲来
動物・植物学者が集結
「再野生化」の定義
鍵となる生物種
再野生化への懸念
セイヨウトゲアザミVSヒメアカタテハ

第10章 イリスコムラサキとサルヤナギとブタ
希少な鳥とコウモリがやってきた
孤独なクジャク
再野生化が勢いづく
イリスコムラサキの飛来
2足す2が5になる

第11章 ナイチンゲールの哀しみ
姿を消したナイチンゲール
復活の兆し
再び姿を消したナイチンゲール

第12章 コキジバトの鳴き声が消える日
コキジバトの減少要因
個体数を増やせ、「コキジバト作戦」
孤立する自然保護区
打ち捨てられる「自然保護」

第13章 洪水と川の再野生化
記録的豪雨と川の氾濫
水路造成の歴史
張り巡らされる排水管
堤防建設以外のやり方
2.5キロの川の再野生化
渓谷に暮らす住民たちの選択

第14章 戻ってきたビーバー
ミズハタネズミとビーバーの深い関係
ビーバーの並外れた創造力
イギリスでビーバーを放つ
ドイツでの成功事例
野生ビーバーの発見

第15章 自然保護と経済
意外な副産物
穀物飼料不使用へ
ウシとウマの共存関係
自閉症の動物学者とウシ
ウマの頭数制限
草食動物と植生遷移

第16章 土は生命
小型哺乳類の増加
あっという間に増えたチョウとガとハチ
働き者のミミズ
人工肥料による環境破壊
ミミズによるクネップの土壌改善
グロマリンは二酸化炭素を減らせるか

第17章 ヒトと自然
自然への関心を育む
心身に効く「自然」
生き物がもたらす喜び
自然な姿とは何か
再野生化とビジネス
自然保護の光と影

クネップ年表
出典
参考文献
訳者あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Bashlier

41
5/5 「涙あり笑いありの自然愛劇」著者夫妻は貴族家系。広大な農園を相続したものの、小麦・牛乳価格の暴落により、補助金込みでも大赤字。破産から物語は始まります。彼女らが乗り出したのは経営改革ではなく、「野生のウシを放つこと」。生き物の力により、元農園はありのままの自然の姿を取り戻していきます。描写はレイチェル・カーソンが描き出した美しい風景のよう。続いて野ブタや野生馬、ビーバーを解き放ち、土地をあるべき姿に戻そうとします。しかし、周辺住民の怒りの声が彼らを脅かし・・・。心打たれるノンフィクションです。2023/08/29

たまきら

33
耕作放棄地を開拓している自分が気付いたことがあるとすれば、化学肥料や農薬を使うことで荒れた土地でも、放棄されてしばらくすると結構元気になるということでしょうか。再生力ってすごい。けれどもそれを意図的に行おうとすると反発もあり、取り組んだ人たちには敬意を持ちました。放棄とは全く違う管理された野生の姿は、今後の放棄地対策への参考になりそうです。2020/09/17

宇宙猫

31
★★★★★ 農業をやめて自分の土地を野生に返すのに様々な規制があり、莫大なお金が掛かり、近隣住民の反発に対応しなくてはならない。農地にする前の姿に戻すのがこんなに大変なことに驚くが、東京に鹿がでたと全国ニュースになることを考えれば納得だ。野生の動植物が復活するする力は、人がいなくなるだけで様々な生き物が暮れしていける証でもあり、ちょっぴり悲しい。欧州・英国の自然保護に対する様々な補助金が、日本との自然に対する考え方の違いを表しているようで興味深かった。D2020/05/29

ぽてちゅう

25
作者が粘土質の農地に見切りをつけ、取り組んだのは農地の再野生化。農地と戦うことから一転、農地と一緒に何かをしようと決めた瞬間だ。「自然のなすがままに任せる」方法に、生物は敏感に反応。草食動物を放ったことで更に自然は地力を発揮し、絶滅危惧種でさえ復活させる。人の手で守り育てる自然保護から、自然が自分のリズムに合わせて風景を作りあげるのを見守る自然保護へ、転換するヒントが詰まっている。自然をもっと自由に!2020/11/03

ykshzk(虎猫図案房)

20
広大な領地を「再野生化」する奮闘記。現在森林に関して勉強中の身にとっては感動的な内容だったが、勉強していなければ分からなかったであろう単語も多い。「遷移」「林冠閉鎖」「萌芽更新」とか。でも、調べながらでも読む価値のある本だと思う。自然環境主体で本来の生態系がバランスの取れた良い状態に移行していくために、人間は一歩引いて勉強し、周囲とネゴシエーションしていくことがいかに大事か。もっと学びたいという気持ち、謙虚な気持ちにさせてくれる貴重な一冊。 2023/09/12

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