内容説明
北京五輪の野球日本代表となったG.G.佐藤。今も語り継がれる高校野球星陵・箕島戦の星陵一塁手加藤直樹。最終戦で敗れ、巨人のV9を阻止できなかった阪神の池田純一中堅手。彼らは、大事な試合で大きなミスを犯したとして、ファンやマスコミから非難を浴び、人生が暗転した。理不尽なバッシングとどう戦い、そして立ち直ったのか。「落球」の烙印を背負った男たちの「その後」を辿るスポーツノンフィクション。
目次
第一章
また落球する運命でももう一度五輪に出たいです
G.G.佐藤
2008年8月23日 五?松野球場(北京)
北京五輪3位決定戦 米国×日本
第二章
野球の神様はなぜ俺をあの場面で転倒させたのか
加藤直樹
1979年8月16日 甲子園球場
全国高校野球大会3回戦 箕島×星陵
第三章
「これが私の人生です」30年後に見つけた答え
池田純一
1973年8月5日 甲子園球場
セ・リーグ 阪神×巨人
第四章
ミスのあとの人生をどう生きるか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ma-bo
60
野球好きの方なら、G.G佐藤選手、加藤選手(星稜高)、池田選手(阪神)の落球は映像、もしくは雑誌や本等で目にしたことはあろう。本書はご本人達が悔い、悩み、心ない中傷からどう立ち直ってきたのか、周りの仲間や家族がどう向き合ってきたのかを綿密な取材で書き記した良書。2020/09/17
金吾
29
○有名な落球の3名の話ですが、本人の苦悩と克服、周りの態度がよくわかりました。特に加藤選手と尾藤監督の話は良かったです。2022/05/16
小木ハム
23
大事な場面で痛恨のエラーを冒してしまった選手三名の当時の状況とその後の人生を丹念に取材されている。人間には、一度ついてしまった味噌を何年もなじり続けるクソみたいな習性がある。それまでの功績は悉く無視され、何度も"戦犯"として蒸し返される姿には読んでいる側も苦しくなった。実家への誹謗中傷の電話、家族への『今どんな気持ち?』インタビュー。引退後も執拗に追いかけてくるマスコミ。たとえ石が小さくても、投げつける人間が百人も千人もいればその人は死んでしまう。そうした想像力の働く人が一人でも増えてほしいと願います。2022/11/21
マッちゃま
23
スポーツに失策は付き物。ただ勝負を決する様なエラーは永く語られる。そんなエラーをしてしまった3人のその後の人生を追ったのが本書。誰かて好きでエラーする人は居ない。エラー後もミスした分を取り返そうと懸命に彼らはプレイをした。だが世間から取り上げられるのはエラー。悩み悔み、時には人間不信に陥り乍も少しずつ前を向いて進め出せた姿を、あの時にあの後も罵倒した人達にも著者は知ってもらいたかったのだろう。あとがきでも触れられた木村花さんの事も含めて、誰もが意見を言える平和な世の中である事に感謝しながら考えていきたい。2020/08/19
nishiyan
19
「世紀の落球」によって運命に翻弄された元西武のG.G.佐藤外野手、元星稜高校の加藤直樹内野手、元阪神の池田純一外野手の三人のその後を追ったノンフィクション。勝ちを落としたことへの後悔とメディアやファンからの心無い中傷と大きな傷を負いながらも立ち直った彼らの姿が綿密な取材によって描かれている。印象深いの池田氏と「世紀のエラー」をした元レッドソックスのビル・バックナーとの交流である。池田氏がバックナーの言葉に感銘を受けたことで始まった縁。取り返しのつかないミスしたあとにどう生きるのかを考えさせられた。良書。2020/08/13