講談社現代新書<br> 真実の原敬 維新を超えた宰相

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講談社現代新書
真実の原敬 維新を超えた宰相

  • 著者名:伊藤之雄【著】
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • 講談社(2020/08発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784065206218

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内容説明

こんな総理が、今いたら!
藩閥政府の行き詰まりを打開し、昭和の戦後復興を支えたのは、この男のヴィジョンだった。

混乱の時代における政治家の役割とは何か。政治における優れたトップリーダーの資質とは何か。今まさに問われているこのテーマに、大きなヒントを与えてくれるのが、今年百回忌を迎えた「平民宰相」原敬である。厖大な史料を確かな眼で読み込み、伊藤博文や大隈重信、昭和天皇など近代日本をつくってきた人々の評伝を著して高い評価を得てきた著者は、原を「近代日本の最高のリーダーの一人」と断言する。
原は、朝敵・南部藩に生まれながら、明治新政府への恩讐を超え、維新の精神を受け継いでその完成を目指し、さらに世界大戦後のアメリカを中心とした世界秩序を予見して、日本政治の道筋を見すえていた。その広く深い人間像は、外交官、新聞記者、経営者と様々な経験と苦闘のなかで培われたものだった。志半ばで凶刃に倒れたことで、「失われた昭和史の可能性」とは何か。
著者にはすでに、選書メチエで上下巻930ページにおよぶ大著『原敬―外交と政治の理想』(2014年)があるが、その後の新史料と知見をふまえ、「今こそ改めて原の生涯と思想、真のリーダー像を知ってほしい」と書き下ろした新書版・原敬伝。

目次

序章  原敬をめぐる百年の誤解
第一章 「朝敵少年」の維新――母・友・師の人生観
第二章 天津で、パリで、漢城で――外交官の日清戦争
第三章 部数倍増の手腕――大阪毎日新聞を経営
第四章 選挙は国家の公事である――政友会のリーダーへ
第五章 「アメリカの世紀」を予見――西園寺内閣の実権者
第六章 「一山百文」の公共性――山県有朋との確執
第七章 平民宰相誕生――世界大戦後のヴィジョン
第八章 「宝積」の理想――暗殺が奪ったもの
あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

56
一国の宰相たる政治家に求められる資質とは、政党や政府、軍部や世論、諸外国など多くの利害関係者の要求を受けながら長期的見通しに立った最大限の国益を実現する力とするならば、原敬は日本史上まれにみる有能な指導者だったと著者は主張する。確かに原が暗殺されなければ長期政権で改憲を含む改革を成し遂げた可能性は高いが、逆に優れたリーダーがほとんど出てこないという現実を照射している。不況やテロや感染症流行で民主主義やリベラルが機能不全を起こしている現代、やはり混迷の100年前に苦闘した原を通じて理想のトップ像を検証する。2020/12/28

南北

46
研究者には研究対象に強い思い入れを持つ人たちがいるが、著者もその1人と言えるだろう。本書は平民宰相として知られる原敬の評伝だが、明治維新以降の日本の近代国家形成や国際秩序の将来を正しく予測していたとする観点から記述している。外交官からやがて政党政治家として大成していく生涯については興味深く読むことができた。しかしシベリア出兵についてはアメリカ追従でウィルソン大統領の意向に沿って出兵や撤兵を行っている点を記述せず、原自身はシベリア出兵に反対であったとするなど疑問が残る点もいくつか存在している。2025/01/25

kawa

37
見返りを求めず善行を積むと言う禅語「宝積」を座右に、明治・大正の日本を率いた政治家で文民宰相・原敬の軌跡を綴る。普選運動における漸進主義に見られる世論と輿論の峻別が印象的。もしあの時の暗殺がなかったら、日本のその後がもうちょっとマシな道を歩んだのではないかとの著者の意見にも納得。原敬に関しては、中公文庫版に続き2冊目。次は小説ものにチャレンジ、対立関係にあった山縣有朋の評伝にも興味あり。2024/12/09

月をみるもの

22
つねに考え続けている「大東亜戦争への Point of No Return がどこにあったのか?」問題。 「原が暗殺された時」というのは、かなり有力な答えとなりそう。彼がシベリア撤兵時に見せた手腕・方法論を、個人のものではなく法システムとして組み上げ、そして政友会を「世論」ではなく「輿論」を反映する政党として育てあげる時間があったなら、別の歴史があり得たはずだ。 今度東京駅に行く時には、暗殺現場に黙祷を捧げにいこう。2022/06/11

Francis

18
一年間積読していたが、今年が原敬没後100年に当たるのでこれで良かったと思う。初の本格的な政党内閣を率いた原敬。これまで原敬さんについては利益誘導だとか、実は反動的な政治家だとかかなり印象的な評価に接することが多かった。今回それが一次史料を十分に読み込んでいなかったために生じた誤解であり、実際の原敬さんは洞察力のある優れた指導者であることが理解できた。著者の伊藤先生は巻末で原の暗殺により三つの可能性が失われたことを指摘されているがその通りだと思う。戦前は民主主義を担う政治家がテロルに倒れた時代でもあった。2021/11/27

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