立東舎<br> 押井守の映画50年50本

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立東舎
押井守の映画50年50本

  • ISBN:9784845634446

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内容説明

押井守が高校生だった1968年から始まる、極私的映画史50年。

「1年に1本のみ」という縛りで選ばれた、
50本の映画解析。
キューブリック、タランティーノ、ポン・ジュノからデル・トロまで
押井守の映画半世紀!

「前書き」より
そんな映画まみれの男にその映画人生を回顧させつつ、昔はものを思はざりけり(権中納言敦忠)の高校時代から現在に至るまで、その年ごとに公開された映画の中から1本の映画を選ばせて(思い出させて)語らせたら、映画マニアあるいはシネフィルと呼ばれる読者になにがしか益するところがあるのではないか。あわよくば高度経済成長からバブルを経て昨今のヘタレた日本の戦後史の一部を、映画を通じてフレームアップできるのではないか―と、企画者および編集者は考えたのでしょう(確信的推論)。

目次

1968年『2001年宇宙の旅』宇宙という存在を初めて映画で表現した作品
1968年『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト』繰り返し見るならレオーネだ
1969年『ワイルドバンチ』こんなカッコいい映画を見たことない
1970年『ライアンの娘』映画のなかに伏在するもう1つの映画を初めて垣間見た
1971年『わらの犬』誰1人として本質を見抜けていない異端の映画
1972年『ラストタンゴ・イン・パリ』固有のテーマを必要としなかったベルトルッチ
1973年『映画に愛をこめて アメリカの夜』映画好きは見ないと損だけど、一生を台無しにするかも?
1974年『田園に死す』寺山修司の引用で作られた寺山修司の映画
1975年『新幹線大爆破』日本映画が日本の戦後にケンカを売った最後の映画
1976年『タクシードライバー』トラヴィスと同じように「拳銃が欲しい」と自分も思った
1977年『戦争のはらわた』ペキンパーはけっきょく「暴力の本質」だけを描いた
1978年『SF/ボディ・スナッチャー』アメリカが初めて体験したイデオロギー闘争の恐怖
1979年『ウォリアーズ』ウォルター・ヒルの情熱と賢さ
1980年『戦争の犬たち』オススメの戦争映画
1981年『劇場版 あしたのジョー2』出崎さんは乗り越えなければならない壁だった
1982年『ブレードランナー』映画だけに流れる特権的な時間
1983年『ブルーサンダー』ヘリコプター映画の最高傑作
1984年『パリ、テキサス』快感に満ちた映画的な時間
1985年『ドレミファ娘の血は騒ぐ』映画監督の資質と時代感覚
1986年『ブルーベルベット』デヴィッド・リンチには勝てない
1987年『ニア・ダーク/月夜の出来事』メタファーとしてのヴァンパイア
1988年『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』ロボットアニメが到達したひとつの極点
1989年『その男、凶暴につき』既存の映画の表現に囚われない北野武の自在感
1990年『トレマーズ』とにかくハッピーな映画
1991年『ヨーロッパ』僕の理想に近い映画監督
1992年『レザボア・ドッグス』ツーショットのダイアローグ劇を書く天才
1993年『アサシン 暗・殺・者』バダムについて語りながら、ベッソンについても語る
1994年『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』等身大のヴァンパイア
1995年『セブン』デヴィッド・フィンチャーならこの1本に尽きる
1996年『バウンド』マイノリティへの想い
1997年『L.A.コンフィデンシャル』アメリカ映画の底力
1998年『ベイブ/都会へ行く』動物がしゃべることの違和感を克服してみせた
1999年『DEAD OR ALIVE 犯罪者』平然とデタラメをやって、カタルシスもある
2000年『スナッチ』いまの映画にはまだ開拓すべき余地があると気づかせてくれた
2001年『ブラックホーク・ダウン』ラストのカタルシスが見事
2002年『戦場のピアニスト』言いわけ映画の典型
2003年『殺人の追憶』ポン・ジュノは人間をこってり描く
2004年『ボーン・スプレマシー』監督の顔が見えてこない不思議さ
2005年『宇宙戦争』スピルバーグでも破綻することがあるんだ
2006年『トゥモロー・ワールド』アクションシーンがなければ立派な文芸映画になる
2007年『ノーカントリー』人間は不気味な存在だ
2008年『ぼくのエリ 200歳の少女』北欧映画の独特の雰囲気
2009年『ウォッチメン』世間はザック・スナイダーに厳しすぎる!?
2010年『ザ・ウォーカー』キリスト教とアメリカの歴史をもう1回やり直す
2011年『ドライヴ』すんなり見るだけでは済まないなにかが隠れている
2012年『ゼロ・ダーク・サーティ』相当な自信か信念がないと、こんな映画は作れない
2013年『オンリー・ゴッド』謎の映画。いまだによく分からない
2014年『フューリー』「映画の構図」について語ってみたいから選んだ
2015年『ボーダーライン』続編と比較して見ることで分かるもの
2016年『ジェイソン・ボーン』失敗した作品から学べることは多い
2017年『シェイプ・オブ・ウォーター』ギレルモ・デル・トロの最高傑作

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

akihiko810/アカウント移行中

31
映画監督の押井守が1968年から2017年の50年間で1年に1本の映画を選び語る。印象度A-  オールタイムベストではなく、「傑作になりそうでならなかった」「世間的には微妙だが俺は好き」などの映画も挙げる。さすがシネフィルの押井のチョイスといったところ。「2001年宇宙の旅」から「シェイプ・オブ・ウォーター」まで。 アニメ映画は自作も宮崎アニメも選ばず、出崎統の「あしたのジョー2」と富野「逆シャア」のみ。特に「逆シャア」は富野の本音が出てる、とべた褒め。押井が富野を褒めるのは珍しいかも2022/01/18

ぐうぐう

30
1年に1本のみを選出し、1968年(押井守が高校2年生の年)から2017年まで、50本(1968年には2本が選ばれているので正確には51本)の映画が語られている。しかし、前書きで押井が念を押すように、これは「生涯ベスト50」という趣旨ではない。映画監督・押井守の血肉となった作品、例えばそれは傑作に限らず失敗作だからこそ学ぶべき点があるという観点から、あえて駄作を選んでいたりする(「クズを山ほど見ること以外に、映画の本質に近づく方法なんかないんだよ」)。(つづく)2020/10/08

kei-zu

27
1968年の「2001年宇宙の旅」から2017年の「シェイプ・オブ・ウォーター」まで、押井監督が1年ごとに映画を取り上げて解説を行う。とはいえ、取り上げられるのは「年間ベスト」ではなく、監督が語る「映画論」の素材であって、褒める内容ばかりではない。 編者による後書きでは「押井監督が自身の演出論にここまで踏み込んで語ったのは、本書が初です」とある。未見の作品に手を伸ばしたくなりました。 「イノセンス」以来、監督の新作に興味を持つことはなかったのですが、本書に紹介の作品を鑑賞後は、気になるようになるかな。2022/08/30

ひさか

26
2020年8月立東舎刊。押井さんが1968〜2017年の50年50本の映画を語った本。押井さんの視点が面白く、本編の話は無論のこと、話に登場する他作品、人物たちも興味深い。巻末の作品索引、人名索引が楽しくて良い。最近は、電子原稿ありきだから、こういった索引は必須でつけるべきだと思います。添えられた、イラストも楽しめます。2020/11/06

こうすけ

17
押井守の著作のなかでもそうとう面白かった。映画評論というより、名作・駄作を通して語る押井守の演出/作劇論。リドリースコットやデビッドリンチについては普段からよく語っているけど、スナッチやセブンが好きなのは意外だった。そしてポンジュノと一緒にアニメ映画を作ろうとしていたという衝撃の事実も明かされている。この前スカイクロラを見直したら凄く良かったので、早くアニメーションの新作が見たい。2020/08/20

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