けいそうブックス<br> マンゴーと手榴弾 - 生活史の理論

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けいそうブックス
マンゴーと手榴弾 - 生活史の理論

  • 著者名:岸政彦
  • 価格 ¥2,750(本体¥2,500)
  • 勁草書房(2020/08発売)
  • ポイント 25pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784326654147

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内容説明

沖縄戦の最中に手渡された手榴弾と、聞き取りの現場で手渡されたマンゴー。「こちら側」と「あちら側」の境界線を越えて行き来する、語りと記憶と「事実」。ストーリーの呪縛から逃れ、孤独な人生について、過酷な世界について、直接語り合おう。「約束としての実在論」へ向けた、ポスト構築主義の新しい生活史方法論。

目次

はじめに

マンゴーと手榴弾─語りが生まれる瞬間の長さ

鉤括弧を外すこと─ポスト構築主義社会学の方法

海の小麦粉─語りにおける複数の時間

プリンとクワガタ─実在への回路としてのディテール

沖縄の語り方を変える─実在への信念

調整と介入─社会調査の社会的な正しさ

爆音のもとで暮らす─選択と責任について

タバコとココア─「人間に関する理論」のために

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ネギっ子gen

55
【言語という呪縛、ストーリーという呪縛から逃れ、私たちはもっと自由に語り合うことができるはず】沖縄戦の最中に手渡された手榴弾と、聞き取りの現場で手渡されたマンゴー。生活史調査の方法論と理論について書かれた書。2018年刊。<私たちは人間についての理論をつくりあげようとするのだが、その作業に終わりはない。それは無限に続く。社会学者にできることがあるとすればそれは、それぞれ一回限りの歴史と構造のなかで、その状況において行為者たちはこの行為を選択したのだという事例の報告を、無限に繰り返すことだろう>と。⇒2025/03/24

かさお

32
少し難しめの記述もあったが面白かった。時間とか自分が存在してる事とか、自分の意思ではどうにもならない事、漠然とした不安を薄くしてくれる。腹が据わり受け入れる、という感覚を得た。本文より【私たちの人生は再現不可能な一回限りの行為や選択の連続。それをひたすら観察し記録する事の意味は、なんらかの形で「人間に関する理論」を豊かにする事…】そう、世の中にたったひとつの真実なんて無い(事実は1つだけど)正解を求めるのではなく、理解を集めるのだ。語りはあくまでも語り手の中での真実であり、聞き取り記録する事を→2023/11/25

かおりんご

23
なぜこれを借りようと思ったのか、さっぱり覚えておりません。タイトルだけで、沖縄地上戦の話だと思ったのかも。内容は、私が考えていたのとは違いました。沖縄地上戦のことも、出てきたといえば出てきましたが、むしろメインは実態調査の方法について。人は記憶を書き換えてしまうけれど、けして騙そうとか嘘をつくつもりはないというもの。興味深い話もあったからよしとする。2019/09/14

水色系

22
社会学の質的調査における方法論について書かれた本。 ばっちり理解できたかというと自信がないけど、岸さんの誠実な姿勢に心打たれた。ところどころ挟まれる生活史としての語りもまた興味深い。(普天間基地周辺は戦後人口が激増しており、そしてそれは普天間基地ができたのちのことであるので、自らの意志でそこを選んだのだから、たとえ騒音が凄まじくともそれはその住民の自己責任だという論に対し)個人が自分の生存の条件のもとで、少しでも良きものにしようと精一杯選んだ人生に、それでも「責任」を負わせられるか。という話が特に印象的。2021/08/09

ちぃ

18
あらかじめ聞き取り内容など決めず取り止めのない話を通じてそこに生きる人の民俗を記録に残す生活史。ヤンキー文化や、地元の友人との繋がりは日本どこでもそんな気がするけど、戦争にまつわることや基地の騒音は沖縄ならでは…と思う。フィルターを通さない調査の難しさもわかる。書籍としては意味付けや注目箇所は書いても研究としてはただ記すのだろうか?いやそんな論文ないよなぁ…?本件の場合回答者がこちらの意図に合わせてしまうことのむつかしさも際立つ。直前読んだ心理学の本とも思いがけずつながった。2022/11/06

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