内容説明
食べすぎて、憎しみあって、浮気して……進化心理学が明かしたヒトの(困った)本性を乗り越えるための理論と実践、それこそが仏教に他ならない。認知バイアス研究のはるか以前から、仏教は「無我」や「空」の概念で自己と世界のありようを正しくとらえてきたのだ。マインドフルネス瞑想が私たちの脳にもたらす驚くべき変容から「悟り」の境地までを科学的に裏づける、知的興奮に満ちた全米ベストセラー。解説/魚川祐司
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
南北
53
アメリカ人の科学ジャーナリストが仏教の「悟り」に至る道のりを述べた本。映画「マトリックス」を導入部分としていて読みやすい。井筒俊彦は「意識と本質」の中で西洋思想にとっての「本質」を分節的に眺めた世界としたが、仏教は井筒のいう「絶対無分節」に悟りを求めるので、悟りへの道はある種の飛躍が必要となる。しかし、その飛躍が西洋人にはできないため、進化心理学と瞑想によって少しずつにじり寄っていく感じが読んでいて興味深く感じた。仏教用語も「苦」ではなくドゥッカと記したところは漢語への先入観が排除できて、好感が持てた。2021/07/09
Satoshi
14
進化心理学者による仏教論。日本人には冠婚葬祭でお世話になる仏教を哲学的に捉えており、そこには戒名など入るすきもない。瞑想による体験を心理学、脳科学の観点で解説されている。仏教思想を学ぶというより、自身が抱える欲望・自尊心との付き合い方のヒントが分かった気になれたのが、本書の価値だと思う。仏教国に住む日本人こそ本書を読むべきかもしれない。2024/04/18
大島ちかり
11
分かり易く書いてあるのだろうが、難しかった。でも世界平和になるために、瞑想を実践して世界がどう変わるのか見てみたい。2025/05/14
Toshi53162606
9
読了。 仏教の中心的な考えの正当性を進化心理学や神経科学の観点から立証した名著。 マインドフルネスが自己責任論に回収される事が多いので避けていたのだが、著者はその点も述べつつ、それでもなお世界を変えていく一つの在り方として仏教が有益である事を上手く述べており、考えを改めた。 特に自己責任論の土台となる自己所有権と独立した自己というものが虚構である事を暴き、その上で、瞑想によって自己と他者との境界線を覆していくという試みを促す点には、近代以降の価値観のオルタナティブに通じる面があり、とても共感できた。2021/04/24
roughfractus02
7
米国仏教は中国経由の日本の大乗でなく、東南アジア経由の小乗由来である。本書では、古代インドの念仏(黙して念じる)と観仏(瞑目して観ずる)をマインドフルネスと呼ぶ。ヴィバッサナー瞑想の観仏体験をした科学ライターの著者は、進化心理学と脳神経科学の知見をもとに瞑想体験へと接近する。意識は多数の感覚モジュールでできている。始終動くその状態を制御しようとせずにじっと観ると、理性を保つと信じられてきた「CEO自己」への執着から距離ができ、心と自己は同じではないことがわかる。瞑想体験の存在論についても多少の言及がある。2021/05/06
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