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内容説明
「COVID-19の蔓延により、おそらく人類史上初めて、世界中で人間の行動の完全な同期がみられた」と哲学者マルクス・ガブリエルはいう。人々が一斉に倫理的な行動をとったことは、資本主義の行方にどのような影響を与えるのか。本書ではさらに、「国と国とのつながり」「個人間のつながり」「経済活動のつながり」を読み解き、終章で改めて個人の生のあり方を見つめ直す。「新実在論」「新実存主義」「新しい啓蒙」と次々に現代思想を刷新する旗手が、新しい時代のビジョンを示す一冊。哲学者は、徹底した抽象的思考を行うことで、総合的で普遍的なビジョンを提示することができる存在である。ならば、ガブリエルは本書で、哲学者がなすべき仕事をしっかりと果たしたといえるだろう。 【目次より】・ロックダウンと『リヴァイアサン』/・危機は倫理的進歩をもたらす/・統計的世界観による幻想/・政治家が正しい判断を下すためには、何が必要か/・日本人はなぜ先進国の中で最も孤立している人が多いのか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
どんぐり
91
“天才”哲学者へのインタビュー形式の本。どこが天才なのかは知らないけれど、名前からして、思想家マルクスや大天使ガブリエルを想像してしまう。彼はジャーナリスティックな天才を称されているが、いたってまともな発言をしている。持続可能な社会を維持していくには、経済的利益優先ではダメで、ここに倫理観を判断基準とした「倫理資本主義」を置く。→2021/12/07
Aya Murakami
78
図書館本。 トランプ大統領が原因で陰謀論が蔓延したのではないのですね。トランプ大統領は陰謀論の症状なのだとか…。ロックダウンで陰謀論が加速するというのは意外に納得できます。閉じこもってSNSの陰謀論にのめりこんだ中年の話がニュースになっていたみたいですし。SNSよりもシェイクスピア等の書籍を読んだりデジタルデトックスをしよう。 倫理資本主義とかコロナは地球の免疫反応とかどこかしら私と気が合いそうです。2025/02/06
ムーミン
52
納得のいくものばかりではなかったですが、面白い考えにいくつか触れることができました。今日美術館で学芸員の説明を受けながら絵画の鑑賞をしました。そこで感じたことと繋がったのは収穫でした。2021/06/11
kazi
46
Youtubeでインタビューを視聴して、興味を持ちました。著者は史上最年少の29歳で、200年以上の伝統を誇るボン大学の正教授に就任。「新実存主義」、「新しい啓蒙」と次々に新たな概念を語る気鋭の哲学者。本書は彼が提唱する新実存主義に基づいた世界認識を丁寧に論じたものです。著者は“倫理”という概念を非常に重要視しており、現在世界規模で行われている“搾取する資本主義”は崩壊し、“倫理資本主義”がさらに普及するだろうと論じています。著者は倫理を人間であるが故に存在する普遍的な価値観であると定義しており、2021/07/31
速読おやじ
40
内容は多岐に亘っていたが、おっ!と思った主張は、コロナは致死率低いのだから感染者増やして集団免疫をつける政策は間違ってない、トランプは馬鹿ではなくコロナが無ければ間違いなく再選されていたーアメリカ人の大統領だという点など。倫理資本主義という考えについて、頁が割かれていた点は注目、自分もこの考えには賛成だ。どの企業にも経理課があるように哲学課があればいいとの話にはどうかとも思ったが、案外ありかもしれない。SDGsやESGなどの考えに通ずるのかなと。人生の意味は?この瞬間以外にないとの回答には素晴らしい。2021/04/05