内容説明
ただ好きで、ただ会いたいだけだった――わかば銀行の支店から一億円が横領された。容疑者は、梅澤梨花41歳。25歳で結婚し専業主婦となったが、子どもには恵まれず、銀行でパート勤めを始めた。真面目な働きぶりで契約社員になった梨花。そんなある日、顧客の孫である大学生の光太に出会うのだった……。あまりにもスリリングで、狂おしいまでに切実な、傑作長篇小説。各紙誌でも大絶賛された、第25回柴田錬三郎賞受賞作、待望の文庫化。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mura_ユル活動
407
読ませる女性心理。ストーリーも時系的に飛びすぎることはなく、登場人物数も適度のため、個人的に合う作風の一人、角田さんの小説2冊目。最初は小さな過ちかもしれない。エスカレート、その傷口が広がっていく。お金が絡むので、常に支配・束縛の重い雰囲気のまま終了。読んでいるときに深く考えてしまうこと、それも彼女の小説の特徴の一つ。人の足りない部分に常に焦点をあててしまう人たち。そして孤独。両親がしてくれたことを子供にしてあげれないもどかしさ。贅沢というものよりも一緒に過ごすことも豊かさ。足るを知るということ。2016/12/10
takaC
390
宮沢りえの映画はまだ観てません。原田知世のドラマを観てから単行本も読んで小説に軍配と評価していましたが、改めて通し読みしてみると視点がころころ変わる構造は結構読みにくいという事に気付いた。でも読後の余韻はこの話ならでは。2014/10/05
ミカママ
377
ドラマを先に観てしまったのは、失敗だった。ついつい細かいところを飛ばし読みしてしまうので。梨花が次第に壊れていく様子が、彼女の生来の性格を周辺から埋めていくことで、かなりリアルに表現されている。あぁ、こういう女性なら、あり得るかも、と読者に思わせちゃう力はすごい。梨花の同級生たちも、普通の生活をしているようで、誰もが少しずつ普通じゃない問題を抱えている。ありそうで、なさそうで。人間ってどうしてこう、うまくいかないんだろう。梨花と夫との関係だって、最初のボタンをひとつ掛け違っただけだったのに。2015/01/25
にいにい
364
角田光代さん原作の映像は、観ているけど読むのは初。丁寧な心理描写が、登場人物の虚無感や執着心を浮かび上がらせ、物語に引込まれる。人は何かのためにという目的がなければ幸せになれないのか。自分の創り出す虚像のために、愛してると思う誰かのために。その実現には、お金が手っ取り早く、分かりやすいのかな。登場人物達の話全て、普通に生きるって事ってどんなのと考えてしまう。僕は、本当に大丈夫?同じ暗闇に囚われないのかと。お金と人生の幸せを再考させてくれる一冊。綺麗で贅沢な衣食住を何のために、バランスを超えて支出するのか2015/01/09
たる
362
夫婦間の小さな違和感から横領に発展するまでの梨花の心理描写がリアルだった。誰も救われず苦しい読後。 登場するたちが一時の見栄と万能感(高揚感)に浸るためにお金に溺れていく。お金はさながら引力のような魅力を持つ。タイトルの「紙の月」とは言い得て妙だ。2015/10/14
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