内容説明
ソ連国営国際旅行公社の職員と別れ、ホテルに戻った。窓からボリショイ劇場とクレムリンの赤い星がうっすら見える。寝付けずに数学の問題集を解いていたら、朝8時になっていた――。モスクワを歩き、同じソ連でも別世界の中央アジアへ。帰路のバイカル号では不思議な「授業」が待っていた……。少年を「佐藤優」たらしめた全40日間の旅の記録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かずぼう
31
日ソ友の会の元陸軍情報将校の日下、篠原さんの話が興味深い。「ソ連についてよく知っておくことは重要、しかしソ連の思想にかぶれたらダメ、ロシア人は共産主義なんか信じていない、共産主義ではなくロシア人の本質について知ることが重要。あいつらには底力がある」元シベリア抑留者だけに言葉に重みがある。北方領土問題は、新たな深層を知る事が出来た、国後、択捉島については、もしかしたら日本の後出しジャンケンかも。それにしても、佐藤優氏の人との関わり方の深さ、行動力はスゴイの一言。2023/03/24
さきん
30
ロシア・中央アジア、帰国、その後と影響受けた人など。より著者のパーソナルに迫れた。著者の親世代は戦争中は20代から30代であり、戦後の生き方に各々使命をもって生きていることを感じた。中古品が高かったり、鶏肉が牛肉よりも高級だったり、不思議な世界が共産圏には広がっていたと感じた。2021/01/16
あんPAPA
21
下巻ではソ連国内での観光が限定された事もあってか、トラブル絡みや政治思想的な内容が多く少々重苦しかった。帰国時に船内で知り合った男が持ち掛けた話から通関で罰金・没収の憂き目に遭ってしまう。それを素直に父親に報告する本人も偉いが、安易に叱るのではなく良い経験をしたと云い、経験が大人の生きる知恵に繋がると教える父親の姿勢がさらに素晴らしい。後書きでは足早に現在に至るまでの事が紹介され、高3の授業でかのラインホルド・ニーバーの原著に触れたとの由。当方は中年を過ぎて「二ーバーの祈り」を知り感嘆したものだが・・・。2023/03/15
naotan
19
本当にこの旅行が佐藤少年の人生を変えてしまったんだなあ。最後の税関での失敗を「良い経験をした」と言えるお父さんが素晴らしい。2020/09/30
you
9
高校生の1ヶ月間の紀行文が上下卷1000ページとは!原稿は獄中で書いたとか、外交官になったときに共産圏の資料は全て処分したとか、出版後に作中の人から連絡があり帰国した日付が確認できたとか書いてあるということは、相当程度は記憶によるものなのか! 旅行中に飲酒を頑なに拒んでいる場面があるがお酒の会話がやたら多い。たまには、飲んどるやろ。 ソ連での会話の回想が長いが、モスクワの滞在は意外に短かい。自分も80年代に北欧東欧に1ヶ月旅行したので著者の千分の1位の経験はしていると思うが全く生かせていないポンコツだわ。2020/09/02