内容説明
『傷痕の街』で作家デビューした越路玄一郎。野坂昭如との出会い、吉行淳之介、長部日出雄とのバンコク旅行、そして直木賞受賞。その後訪れた睡眠薬中毒と小泉喜美子との離婚。自身が再起へ向かう姿と、一九六四年~七八年の綺羅星のような作家たちの活躍を描く、ハードボイルド作家の自伝的長篇小説完結編。
〈解説〉郷原 宏
■目次
星になれるか/面白き罪/バンコク有情/ドリアンの謎/モンスターの尻尾/独り砂漠を/甘美なる腐敗/回帰への終章
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
やま
2
前作より自伝の側面が強く出ているが、それでも交遊のある文人達のエピソードは十分に面白い。「深夜特急」を思わせる旅行記のような面もあり充実している。2020/09/15
ごま
0
生島治郎の自伝的小説。私は著者の代表作である『黄土の奔流』は読んでいないけれど、本作と同じ越路玄一郎が妻と出会い、別れるさまを綴った『片翼だけの天使』シリーズは読んでいる、という非常に偏りのある読者なのですが、生島治郎の文章はリーダブルかつ面白いので、一気読みしてしまいました。風俗のくだり、時代を感じます。ちなみに、これを読んでまた片翼シリーズが読みたくなりましたが全て絶版だったため、(片翼だけの)「結婚」「韓国」「女房どの」「天使と悪魔のあいだ」の古本をネットで一気買い。この機会に再販してくれないかな。2020/07/02