屋上で会いましょう

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屋上で会いましょう

  • ISBN:9784750516523

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内容説明

韓国文学を代表する人気作家チョン・セラン、初めての短編集

私が去った席に、次に来るあなたへ。
――ひそやかで確かなつながりのメッセージ

職場でのあらゆるハラスメントに疲れきり、常日頃、屋上から身を投げたいという衝動に駆られる“私”。
拠り所は三人の女の先輩だけ。
ある日、先輩たちから渡されたのは、古くから受け継がれてきた絶望から抜け出すための「呪文書」だったが……(「屋上で会いましょう」)。

結婚・離婚・ハラスメント・突然死――
現代の女性たちが抱えるさまざまな問題や、社会に広がる不条理を、希望と連帯、やさしさとおかしさを織り交ぜて、色とりどりに描く9作品を収録。

韓国文学のシリーズ〈チョン・セランの本〉待望の第2弾!

【目次】
・ウェディングドレス44
・ヒョジン
・ご存じのように、ウニョル
・屋上で会いましょう
・ボニ
・永遠にLサイズ
・ハッピー・クッキー・イヤー
・離婚セール
・ヒタイとスナ
・あとがき
・訳者解説

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アマニョッキ

58
好き好き大好きチョン・セラン。すごくセンシティブな内容の羅列にしおしおと胸を痛めていようものなら、急に「ぶーっ!」って吹き出すぐらいのヒューモアをはさんでくるところが本当にたまらない。人間って言うまでもなく厄介で偏屈でどうしようもないけれど、そこをインヤンごちゃまぜで笑い飛ばしてくれる感じがとても好き。心の奥底の窓のサッシに砂やワタボコリが溜まっていそうなあなたは、ぜひチョン・セランにふぅーっ!と吹き飛ばしてもらいましょう。残るのは素敵な瑞々しさと翻訳の妙。すんみさんの翻訳素晴らしいですよー、本当に。2020/07/04

とよぽん

54
チョン・セランの本を読むのは2冊目で、これは短編集。いろいろなテイストが楽しめて、作家の柔軟性を感じた。「webzine ゴウル」というサイトが彼女の出発点と言えるそうで、人的ネットワークの面を持ち、書き手と読み手の境界があいまいな共同体性があるという。チョン・セランの野心的な言葉「文壇の権威主義と禁忌を挑発してみたい」に、今後の作品への期待が高まった。2020/10/08

吾亦紅

34
どれも少し突飛でSFっぽくもあり、純文学のようでもある短編集。意味がつかめない部分もあったが、ゆっくり文字を追いながらの、ふわふわと浮遊しているような読書だった。自国民でない人がそこに暮らし、小さなコミュニティの中での日常や思いを描いた作品が2篇あり、興味深く読んだ。言葉や文化の違いというのはコミュニティの単位が小さくなっていくほど、些細なことになっていくように感じた。対して単位が大きくなったために齟齬が生まれる様子を描いた作品も。韓国料理を好んで食べているけど、韓国の文学にも親しんでみたい。2020/09/28

みねたか@

27
初読みの韓国の作家さん。短編集。身近な人、親しい人たちとのつながり。みんなそれぞれに事情がありそのすべてを分かり合えるはずもない。それでも、今の繋がりを、ともに過ごす時を大切にしていく。全体からそんなメッセージを感じる。実際の友人をモデルにして描いたという「ヒョジン」、歴史から題材をとった「ご存じのように、ウニョル」、話の成り立ち自体がファンタジックな「ヒタイとスナ」が特にお気に入り。2023/07/15

ケイティ

27
『フィフティ・ピープル』がとても良かったのでこちらも。SFとは少し異なるが、どこか不思議な世界がちらちら出現する短編集。垣間見える社会的背景や問題意識は絶望さえ感じるのに、カラッとしていて爽やか。かといって鈍いわけでものんきでもない。理不尽や不可解をあるがまま受け入れたり流したり、深刻にならずに向き合っている。「ただ明るい」という印象が一人歩きして軽視され賞を逃してきたらしいが、それだけでなくもの悲しさや切なさの余韻もある。あとがきも丁寧で興味と理解が深まりました。2021/05/14

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