上海フリータクシー:野望と幻想を乗せて走る「新中国」の旅

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上海フリータクシー:野望と幻想を乗せて走る「新中国」の旅

  • 著者名:フランク・ラングフィット【著】/園部哲【訳】
  • 価格 ¥2,673(本体¥2,430)
  • 白水社(2020/07発売)
  • 夏休みの締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/24)
  • ポイント 720pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784560097595

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内容説明

米公共ラジオ局の特派員として上海に赴任した著者は、市井の人びとの生の声を聞き出すべく、無料のタクシーを走らせるというアイデアを思いついた。話を聞かせてくれれば、運賃はもらわない。
どういう素性の人が乗ってくるかわからないタクシーという乗り物の性質上、取材対象となる乗客のバックグラウンドは実に多様だ。知識人もいれば、そうでない人もいる。地方出身の出稼ぎ労働者、大都市で生まれ育った人、恵まれた人、恵まれない人――さまざまな階層や境遇の人たちから話を聞き、彼らのストーリーを重層的に描くことで、今の中国社会の姿を立体的に浮かび上がらせる。
乗車時に語られたストーリーを単に並べるのではなく、乗客のその後を丹念に追跡調査し、ときには海外まで足を延ばして周辺取材を敢行する。一人ひとりがどのような人生を歩んできたのか、中国共産党の強大な政治体制や目まぐるしく変わる経済状況が個人の生き方にどう影響しているのかをつぶさに見ることができる。
中国社会の実情を浮き彫りにしつつ、中国と世界各地が相互に連動し、時代の重要な転換点を迎えていることを暗示する野心的ノンフィクション。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

白玉あずき

42
いい仕事です。絶賛お勧め。共産党の締め付けが今より緩かったタイミングにも恵まれて、中流下流層の肉声を聞けたのが本当に良かった。地方から出稼ぎに来る農民工の血涙によって築かれる大都市、階層上昇を強迫される中流層の苦しさ。資本は内に奴隷層を、外に植民地を必要とするんだなと改めて思う。「共産党」なんて名称は恥ずかしいから早く変えたらどうだろう。人権感覚皆無の中国の歴史。これからも下からの改革は期待できそうにないなとも思う。西側民主主義の理想も褪せた現代、それぞれの国で我々は何を目標に社会を纏めていくのか。2020/09/20

なる

17
上海を中心にしてフリータクシーに偶然いあわせた乗客を乗せながら乗客たちのいきさつや背景をインタビューして行くという形式のユニークなドキュメンタリー本。普段は外側からのメディアでしか知ることのない中国の実情を垣間見ることができる。タクシーを手段に選ぶ人は基本的に生活に満足している人が多く、体制を批判するようなめったなことを口にしてはいけないというのが日常生活の中に染み込んでいて、それを特に不思議なことには思っていない人々の多いことにカルチャーショックを受ける。もちろん地域によってさまざまではあるけれど。2023/11/19

DEE

15
身の上話をしてくれれば料金はタダ、というフリータクシーを運転していたアメリカ人ジャーナリストの著者。楽しそうな雰囲気に反して話される内容は重い。 情報がコントロールされ言論の自由のない中国。一歩表に出て見てみると、自国がどれだけヤバい国か分かるのだろうけど、誰にでもそんなチャンスがあるわけではない。知らないことすら気付かなければそれはそれでいいのかもしれないと、半ば諦めの気持ちで読み終えた。2020/10/20

ののまる

13
すばらしいノンフィクションだった❗️ 現代中国の光と闇が、それぞれの人物のエピソードと、最新データや現状分析がおり混ざって、本当によくわかる。 アメリカの主要紙所属のアメリカ人記者の取材を許可しないと通告した今の中国では、こういう取材はもう無理だろうから、貴重だ。2020/06/29

spike

5
2000~2010年代前半の上海の様々な人々が翻弄される姿がビビッド。このころ頻繁に上海に出張に行っていたのでいろいろイメージしやすいところも。このジャーナリストのコミュニケーション力と行動力(とそれだけでないジャーナリスト魂みたいなもの)は確かに素晴らしい。普通の日本人はとかく「こんなこと自分には無理」とか思ってしまうのだが、彼(あるいは上海あるいは中国各地から世界中に散らばっていく登場人物たち)は言葉の問題とか一体どうなっているんだろう、ということにまず頭が行ってしまうところが日本人の宿痾なのか。2020/07/24

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