内容説明
漫画編集者って、なんてかっこわるい仕事なんだ!
人気投票と評価、そして売れ行きの間で煩悶する漫画家と漫画編集者。
不人気の果て、開き直って描いた官能漫画がようやくヒット、しかし創作のエゴイズムから逃れられない漫画家。
その矛先は担当編集に当然のように向けられる。
「俺の漫画に関われるだけでありがたいと思え」。
漫画家と編集者との共闘、そして決裂までを描いた『担当の朝』。
担当編集はまるで修行のような態度で臨まなければならない、現在では不人気となってしまった鬼才の大巨匠。
それでも「破門」される日はやって来る。
その理不尽さ、恩と怨念を描いた『担当の夜』。
有望な新人のはずなのに、なかなか新作を描かない漫画家。
その驚くべき「描かない理由」としたたかすぎる生命力を描く『最後の担当』。
今日もまた訃報が届く――。
なぜか早死にする漫画編集者たちへの痛切なレクイエム『俺酒』。
元青年漫画誌の編集長だった著者が描く、知られざる青年漫画の熱かった季節。
表紙・巻末マンガ:すぎむらしんいち
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
むぎじる
36
青年漫画誌の男性編集者高野が、担当してきた漫画家との出会いと別れを振り返る連作短編集。自分の思いのたけを、作品の中にこれでもか、とぶつけてくる漫画家と、そんな数多の作品から、「これだ!」というものを発掘する編集者。いざ連載が始まったら、雑誌のカラーを壊さず、読者に受けるものを続けていかなければならない。編集者と漫画家の関係が、ベッタリでも2人で完結してしまいそうだし、その距離感の難しさ、息苦しさが伝わってくる。ラストで高野が語る、名物編集者の回顧譚がしみじみとよかった。2014/08/25
外道皇帝
8
漫画週刊誌の編集者・高野が関わった漫画家たちとの戦いの日々。編集者と漫画家との関係が裏話的に描かれていて面白い。「担当の朝」は明らかにジョージ秋山がモデルだよなあ。最後の「俺酒」は回顧録的なものでちょっと冗長で、不要に感じた。2014/02/18
barabara
8
偏屈かつ繊細な過酷な漫画家達にはりつき原稿をもらう担当編集者のブラックな本音が面白く切ない。漫画家と編集者の歪んだ愛、憎悪。一部をのぞき売上ブームは去り、どちらに対しても厳しい状況になる紙の売上。当てれば億、当たらなくてもそれなりの収入が約束されている出版社員。実際に経験してきた者にしか分からない本音がズバズバ放り込まれ、一編の小説になっているのは見事。表紙がまるで関係ない仕上がりになっているのもおかしい。2013/12/18
カロリーナ
5
☆2 衆智出版『週刊ヤングブラッド』。表紙と巻頭を巨乳グラビアアイドルが飾り、中身の七割は非合法的な漫画―暴力・性・違法走行・賭博等―、一言で言えば「ヤンキー雑誌」の編集者・高野と、担当している漫画家3人との共闘の日々と決別を描く3編と、先輩編集者への鎮魂の1編を収録した短編集。表紙は全く関係ないので注意が必要です。青年漫画は読んだことがなかったのですが、「週刊」って最早仕事の域を越えていますね。絵が描けなければまず出来ないけれど、それ以前に精神的、体力的に出来る人は限られていそうだと感じまし2014/02/06
びすけっと
3
漫画家と編集者のものがたり。繰り返される狂気の世界。週刊って人生すり減らすんだ。編集そのものがそうなのかな。 この物語に出てくるまんがのジャンル、私は好まないので読めない。 編集の世界、今は違うとほのめかす内容ですが、変わらずこういうものなのかなとも感じます。実際どうなのでしょう。2014/02/01