内容説明
「人工知能のための哲学塾」第3弾!
哲学とエンジニアリングの両面からAIの本質に迫る「人工知能のための哲学塾」。知能とは何か、そして人間とは何か、という問いを巡って西洋哲学と東洋哲学を旅してきた本シリーズ、第3弾となる本書では、よりアクチュアルなテーマ「これからの社会とAIの関係」に迫ります。
AIを利用したプロダクト/サービスづくりに関わるエンジニア、デザイナー、プロダクトオーナーや、知的好奇心溢れる人におすすめの一冊です(前2作を読んでない方でも楽しめる内容になっています)。
目次
第零夜 イントロダクション
1 未来社会篇で目指す人工知能論
2 人工知能、自己、他者
第一部 視点〈人工知能から哲学へ〉
哲学を足場に人工知能を築く 三宅陽一郎
第一夜 結びあう人と人工知能の心
1 「理解する」とは
2 理解の諸相 ―全部か、部分か―
3 ゲームという場における理解
4 精神の構造と相互理解
5 コンテクストの理解
6 存在の構成と相互理解
7 環世界と構造主義
8 場と同期と理解
第二夜 社会的自我を持つ人工知能の社会
1 これからの社会と都市
2 社会はいかに知能を作成するか
3 社会的自我を持つ人工知能
4 人工知能によって構造化された社会
第三夜 世代を超えて作り出す人工知能文化
1 文化とは何か
2 文化と継承
3 生物の文化、人工知能の文化
4 知識獲得と文化
5 文化アルゴリズム
第四夜 自己変革を促す人工知能の愛
1 自己と他者
2 愛と愛でないもの
3 存在の構成と相互理解
第五夜 揺れ動く人工知能による幸福の探求
1 幸福とは何か
2 エージェントの行動的幸福
3 エージェントの存在的幸福
4 人工知能と体験
5 振動 ―世界と深くダンスする―
第二部 視点〈哲学から人工知能へ〉
人工知能を哲学から思考する 大山 匠
第一夜 循環する理解とコミュニケーション
1 「理解」が必要な世界で
2 情報伝達モデルと記号的コミュニケーション
3 心の理解の理論 ―シミュレーション説と理論説―
4 解釈学と理解の地平
第二夜 響きあう社会と自己
1 「社会」とは何か
2 外的事実、内的経験としての社会
3 社会生物学と社会の計算可能性
4 社会学の誕生
5 方法論的全体主義と非合理
6 相互行為の社会学
第三夜 文化の記述とアルゴリズム
1 「文化」とは何か
2 進化主義と伝播主義
3 マリノフスキと文化の参与観察
4 文化普遍主義への反動
5 進化論の再興と文化の形式
6 継承と伝播のアルゴリズム
第四夜 愛のモデルと、その語りがたさ
1 なぜ、「愛」について考えるのか
2 エロース、フィリア、アガペー
3 初期の心理学と愛の排除
4 愛の連合モデル
5 具体性と物語性
第五夜 幸福と計算、そして自由
1 「幸福」と人工知能
2 幸福の古代哲学史
3 幸福は計測可能か
4 快楽と意味
5 幸福の多様性と非厚生主義
「他者としての人工知能」に関する考察 ―あとがきに代えて― 三宅陽一郎×大山 匠