内容説明
「巨悪を眠らせるな、被害者と共に泣け、国民に嘘をつくな」の名言で“ミスター検察”と呼ばれた検事がいた。第32代検事総長・伊藤栄樹である。伊藤は造船疑獄事件、売春汚職事件、ダグラス・グラマン事件、そしてロッキード事件など戦後日本を代表する重大事件を担当した。文字通り“巨悪との戦い”に人生をかけた著者が、知られざる捜査秘話を明らかにした回想録を緊急復刻する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まーくん
82
最近、検察庁人事が世間を賑わし、渦中の人が文春砲に撃沈された。政権に気に入られなければと、少々気の毒な気も。本書はそんな世情を見ての復刊に違いない。88年朝日新聞連載『秋霜烈日―伊藤栄樹の回想』の単行本が親本。伊藤は49年戦後一期生として検事任官、85年検事総長に就任するも癌のため任期途中で退官。病床で執筆。指揮権発動を招いた造船疑獄の顛末など語っているが、東京地検公安部が上司にまで隠蔽しようとした天皇特別列車爆破計画に驚いた。”もうすっかり忘れた”という話も、よく読むと真相が透ける(ように書いている)。2020/07/31
とくけんちょ
54
検察の元トップによる回顧録。事件ごとに数ページで振り返っているため、それぞれにそれほど突っ込んだ内容はないものの、うまくまとまっている。新装版であり、リアルタイムというより、時代の流れを感じるが、興味深いものであった。衝動買いしてよかった。2020/12/28
AICHAN
35
図書館本。私が読んだのは『秋霜烈日 検事総長の回想』というタイトルの本。『巨悪は眠らせない 検事総長の回想』と同じ本だと思われる。『巨悪は眠らせない 検事総長の回想』で検索するとヒットするのはこの本だけなのだ。法務・検察の中枢を歴任し「ミスター検察」とまで言われた伊藤栄樹さんの回想。造船疑獄事件からロッキード事件までを回想する。公にはできないことが多いようで、内容は事件捜査の片鱗や周辺の話ばかり。期待していたのでガッカリ。2023/01/22
とみやん📖
11
安倍政権末期の黒川騒動をきっかけに、元有名検事総長伊藤栄樹氏の絶筆本「秋霜烈日」を改題し再販したもの。 昭和63年退官までの40年の検事人生を振り返り、関わってきた事件について触れている。戦後まもなくの法務大臣による史上唯一の指揮権発動事案造船疑獄事件から始まり、超法規措置で連合赤軍の国外逃亡を許したハイジャック事件、ダグラス・グラマン事件など、世の中を騒がせたものばかり。 この本で初めて国会において法務省刑事局長が検察を代弁していることを知った。黒川騒動は巻末の村山治氏の解説が良くまとまっている。2020/09/17
大先生
9
ミスター検察こと伊藤栄樹氏の「秋霜烈日」の文庫版。文章から伊藤氏の能力の高さは勿論のこと人間的魅力も伝わってきます。例えば①検事は潔癖すぎるとの批判に応えて部下にポルノ観賞をさせた②北海道旅行で車を運転中スピード違反した③交通反則通告制度(いわゆる違反キップ)の創設等など。今はこんな人いないですよね。社会的にも許容されないでしょうし…。因みに「検事と被疑者との間に醸し出される信頼感情、これこそが自白の最大の原因」だそうです。検察が取調べ可視化に反対したときも、信頼関係の構築が困難になると危惧してましたね。2021/11/09
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