内容説明
保田與重郎をめぐる大和文学紀行。――国のまほろば・大和の地に刻まれた、無垢なる魂の悲惨と栄光。悠久と無常の風土に、保田文学の根源をたどる、碩学の傑作評論。
「保田を読み始めた頃は旅を嫌っていた若者が、老境に入って、旅の経験もかなり積み重ねて来たその蓄積の上で、保田の大和を眺めた時どのように見えるか、そのことをたしかめようとしたのがこの本である。いうまでもなく現実にはその土地は行政区画としての奈良県であって、そこにひそむ遠い過去の追想は、所詮幻にすぎぬかもしれない。しかし幻にこそ土地の神髄があると考えれば、現実の相はかえって虚にすぎなくなるともいえる。実にして虚、このイロニーの上に保田の大和は浮んでいると見た所に表題を置くいわれがあった。」(後書より)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ダイキ
4
保田與重郎論ではあるものの、『イロニアの大和』という表題が示す通り、内容は寧ろ保田のイロニッシュな眼を通して眺めた先に現出した「大和」という所に重点が置かれているようで、全十六章中前半十章では後南朝や天誅組等の事績とそれ等に伴う大和の風土に関する事が保田の著書を傍証的に引きながら述べられた後、最後の六章に目次も一字下げられ恰も付録の如く保田とヘルダーリン等との関係が述べられる。世の気障な俗人の如く保田を「イロニー」の一語を以て軽薄に看破した気にはならず、その内奥にあるものを追求しようとした貴重な書であり、2017/02/06
netakiri nekotaro
1
ドイツ文学者・川村二郎の生前最後の単行本である本書は保田與重郎論です。著者の第一評論集『限界の文学』の冒頭にはホフマンスタールと保田與重郎を論じた文章が掲げられていたので、保田與重郎への関心が継続的かつ並々ならぬものであったことが分ります。著者によって論じられたことで保田與重郎は文学史において救済されたといってもよいです。2014/03/04
-
- 電子書籍
- カクカイのプリンス(分冊版)(2) B…
-
- 電子書籍
- 陽だまりシェアハウス(話売り) #19
-
- 電子書籍
- 現代経済社会入門
-
- 電子書籍
- 今夜、月が泣いてる。[上] 魔法のiら…
-
- 電子書籍
- 心がラクになる 超訳 賢者の言葉