内容説明
婚約者の死を「予知」したファンレターに人気漫画家・陣内は。大ヒット作『彼女は存在しない』の著者が贈る傑作メタミステリ!
売れっ子漫画家、陣内龍二の婚約者・里美が交通事故で死んだ。ショックのあまり、陣内は、連載中の漫画のヒロインを作中で殺してしまう。たちまちファンからの抗議が殺到する。だが、その中に、消印が事故の数日前という、里美の死を予知した手紙があった。手紙の差出し人を訪ねると、神崎美佐という四十八歳の落ち着いた女性だった。部屋には作中のキャラクターが飾られ、熱心なファンであることを示している。本当に、死を予知する能力が神崎にはあるのか?失われた恋人への狂おしい想いの果てに、陣内が辿り着く予測不能の真実! 最後の一ページまで見逃せない迷宮的ミステリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Shun
30
今年3月に作者が逝去されていたと知り初めて読みました。本作以外にも設定や内容が奇抜なものが多く、それが作者の持ち味のようですね。そして本作、人気漫画家の婚約者が事故で亡くなり、そのショックで連載中の人気ヒロインを何の伏線もなく唐突に殺してしまうという超展開を誌面に載せてしまいファンは激怒、連日罵倒のファンレターが送られてくる事態に。そんな中の一通で婚約者の死を予知した自称予知能力者の登場、その一方で怒れるファンの一人は現実に漫画家の殺害計画を立て始め物語は予想外の展開を見せる。興味をそそる設定が面白い。2020/09/27
すしな
12
025-22.幸せな漫画家カップルに突然訪れた彼女の死を発端に、自暴自棄になった漫画家の前に、死を予知できる漫画家のファンの女性が現れます。話の根本には「未来はあらかじめ決まっているのかいないのか?」問題があって、予言が本物か偽物かということも相まって、色々想像が膨らんでいきます。主人公の漫画家が描く漫画もキーになっていて、話全体のメタ構造にもなっていまして個人的には、エヴァンゲリオンのシンジ君とアヤナミに近い感じがしました。再読で何か”こわれ”ているのかを伏線から辿るのも面白いかもです。2022/03/13
Alice
12
神崎の気持ちはわかる…ビックリするほどのドンデンでもなかったかな。犯人はこっちか?違った。じゃあこっちか?と予想できたな。2022/01/03
yuka
12
予想通りの部分もあったが、楽しかった。三橋がとにかく気持ち悪かった。2021/10/31
matsu.shin
10
設定から構成までしっかりと作り込まれた作品でした。 シンプルな展開で、削ぎ落とされた言葉選びは物語への没頭度を高めてくれました。 犯人探しのミステリーとは違う変わった作品をお求めの方におすすめです2020/08/31