内容説明
『署長刑事』シリーズで人気の姉小路祐が描く、警察組織の裏面を描いた傑作ミステリー。
深夜の警邏中、京都府警の警官二人は公園で格闘する二人の男を発見。「警察だ。やめろ」の声も空しく、一人が相手の背にナイフを刺す。威嚇射撃の後、警官は加害者を射殺した。その後、一命をとりとめた被害者は、何故か姿を消してしまう。府警本部は「発砲はやむを得ない措置」と発表するが、事態は収束しない。射殺された男は左翼の活動家で、その内妻が「権力の濫用」を訴えたのだ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヨーコ・オクダ
8
痴漢と被害女性の彼氏の取っ組み合いの現場へ駆けつけた警官2名。痴漢が男性をナイフで刺し、何とか起き上がって下半身にしがみつく相手をさらに刺そうとしたため、警官は止む無く発砲。結果、痴漢が死亡。そして、件のカップルはいつの間にか姿を消していて…。ここがこのミステリの入口。ページ数が少ない割に、大学の先生同士の不倫、左翼運動、新興宗教、公安やらいろんなネタが満載。そしてそして「権力の濫用」に関しての付審判の請求。警察ミステリというより、法廷ミステリの要素のんが強いかなー?2015/11/30
yamakujira
6
官僚の正義は組織防衛のためにもっとも強く作用するってことは、現実の事件でも痛感することしきりだけれど、こんな事件だってあり得るね。でも、西谷はお粗末すぎるね。佐々木が追跡をさっさとやめて煙草をふかす場面で早々に「あれっ?」と思わせちゃうのがもったいないな。薮内の証言こそが正義だと思うのに、組織を裏切ったことにされそうで怖いね。さまざまな人物が錯綜する物語が後半になって収斂していくと、いつの間にか江里奈が主人公になってた。ところで、新左翼の活動家って、今はなにをやってるんだろう。 (★★★☆☆)2015/10/26
誰かのプリン
2
著者の本は、司法関係の様子がよく分かると以前書いたが、本書では公判でのやり取りが面白かった。しかし、最後の終わり方が中途半端だったのにはガッカリした。2016/04/27
owlman
0
OUTな関係を否定しないあたりからくる違和感。2015/03/13
みるく
0
江里奈さんが主人公だったのか ...2013/03/31