岩波文庫<br> 吉野弘詩集

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岩波文庫
吉野弘詩集

  • 著者名:吉野弘/小池昌代
  • 価格 ¥814(本体¥740)
  • 岩波書店(2020/07発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784003122013

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内容説明

結婚式の祝辞としてよく引かれる「祝婚歌」,いのちの営みに静謐で温かい眼差しを投げかける「I was born」,現代における「受難」の意味を,心のやさしさに凝視める「夕焼け」????.穏やかな語り口の,深い愛情に満ちた,鮮やかな抒情の音をひびかせる,吉野弘(1926―2014)のエッセンス.(解説=小池昌代・谷川俊太郎)

目次

『消息』――(「谺」詩の会,一九五七)
  君も
  さよなら
  burst
  亡きKに
  挨拶
  記録
  日々を慰安が
  刃
  奈々子に
  ひとに
  身も心も
  雪の日に
  美貌と心と
  初めての児に
  父
  I was born
  かたつむり

『幻・方法』――(飯塚書店,一九五九)
  たそがれ
  星
  夕焼け
  夏の夜の子守唄
  岩が

『10ワットの太陽』――(思潮社,一九六四)
  火の子
  乳房に関する一章
  鎮魂歌
  素直な疑問符
  六月
  顔
  仕事
  離婚式に出会う
  ヒューマン・スペース論

『感傷旅行』――(葡萄社,一九七一)
  修辞的鋳掛屋
  伝道
  香水
  エド&ユキコ
  実業
  眼・空・恋
  妻に
  或る朝の
  三月
  早春のバスの中で
  みずすまし
  一年生
  海
  鎮魂歌
  湖
  釣り
  ざくろ
  石仏
  六体の石の御仏
  種子について
  初冬懐卵
  雪の日に
  室内
  二月三十日の詩
  新しい旅立ちの日

『北入曽』――(青土社,一九七七)
  韓国語で
  漢字喜遊曲
  過
  争う
  生命は
  茶の花おぼえがき
  台風
  虹の足
  秋の傷
  鏡による相聞歌
  ほぐす
  二月の小舟
  小さな出来事
  忘れられて
  自分自身に
  樹
  豊かに
  オネスト・ジョン
  挿話

『風が吹くと』――(サンリオ,一九七七)
  魚を釣りながら思ったこと
  船は魚になりたがる
  運動会
  立ち話
  祝婚歌

『叙景』(青土社,一九七九)
  叙景
  林中叙景
  母
  創世記
  白い表紙
  脚
  日向で
  カヌー
  夜遅く
  十三日の金曜日
  声の大人たち


『陽を浴びて』――(花神社,一九八三)
  陽を浴びて
  夕方かけて
  円覚寺
  乗換駅のホームで
  或る声・或る音
  樹木
  四つ葉のクローバー
  過ぎ去ってしまってからでないと
  漢字喜遊曲――王と正と武
  池の平
  車窓から
  ある高さ
  草

『自然渋滞』――(花神社,一九八九)
  紹介
  酒痴
  雨飾山
  短日
  つくし
  「止」戯歌
  (覆された宝石)考
  貝のヒント
  冷蔵庫に
  モジリアニの眼
  人間の言葉を借りて
  明るい方へ
  最も鈍い者が

『夢焼け』――(花神社,一九九二)
  夢焼け
  某日
  食口
  ぬけぬけと自分を励ますまじめ歌

『吉野弘全詩集増補新版』――(青土社,二〇一四)
 ●「未刊行詩篇選」より
  飛ぶ
  滝
  秋闌けて
  おとこ教室

単行詩集未収録詩篇から
  雪
  埴輪族
  原っぱで
  錆びたがっている鉄の歌
  食べない
  生長
  果実と種子
  青い記憶
  姉妹
  フルート
  雪の拳
  揉む
  夕陽を見つめながら
  動詞「ぶつかる」


《解説》
  還流する生命(小池昌代)
  いないのに居る(谷川俊太郎)

吉野弘自筆年譜

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ちゃちゃ

111
私たちの人生は決して自分だけでは完結しない。花が偶然訪れた虫や風に受粉を手伝ってもらうように、不完全な私たちが成熟してゆくためには、誰かに手を貸してもらわなければならない。自分の中の欠如を満たすために、時には人に支えられ、時には人を支える。そのために、私たちは自分が未熟であるという認識と謙虚な姿勢が必要なのではないか。退職したときにふと大好きな吉野弘「生命は」の詩の一節が浮かんだ。巡り会う生命の不思議。「私もあるとき/誰かのための虻(あぶ)だったろう/あなたもあるとき/私のための風だったかもしれない」2019/04/30

佐島楓

72
確か北村薫さんのアンソロジーで初めて出会った詩人。「夕焼け」のどこにでもありそうな、だけど希少なドラマ性など、言葉によって日常が裏返されてしまう体験ができる。理性的な詩だと思う。2019/06/11

いっち

38
吉野弘さんの詩はわかりやすい。わかったような気になれる。「I was born」での少年の言葉、「人間は生まれさせられるんだ。自分の意志ではないんだね」に、心から同調する。一方、「仕事」では、元同僚が退職し、老け込んでしまった。しかし、元同僚は、新たな仕事を見つけると若返った。若返った元同僚の姿を見た主人公は、「何かを失ったあとの彼のような気」がする。「ほんとうの彼ではないような気」がする。「ほんとうの彼」とは、仕事を辞め、老け込んでしまった姿の元同僚だ。それを「ほんとうの彼」と表現する視点が面白かった。2022/08/10

くまさん

32
 うつむいた娘は列車でどこまでいくのだろう。「やさしい心の持主は/いつでもどこでも/われにもあらず受難者となる。/何故って/やさしい心の持主は/他人のつらさを自分のつらさのように/感じるから」(「夕焼け」)。どうか自分を責めないでほしいと思う。「ゆったり ゆたかに/光を浴びているほうがいい/健康で 風に吹かれながら/生きていることのなつかしさに/ふと 胸が熱くなる/そんな日があってもいい」(「祝婚歌」)。自然のなかの一部としての自分は、花と虻と風とあらゆる生命と同じく、ここに存在していていいのではないか。2020/05/05

あきあかね

29
 生命、いのちーそれが吉野弘の詩に通底するテーマのように思えた。花や樹木、種子、虫等の生命に仮託して、人間という生命をあぶり出す。 「私もあるとき 誰かのための虻だったろう あなたもあるとき 私のための風だったかもしれない」 風や虫の訪れが花を咲かせるように、「自分自身だけでは完結できない」生命たちが、知らぬ間に互いの「欠如」を満たすものとして世界を捉える『生命は』。 「人でも花でも 誰かに関心を持たれていると知ったとき どれだけ生き生きするものかということも」 地上のあらゆるものが柔らかに⇒2020/06/03

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