ベスト・オブ・イヨネスコ 授業/犀

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ベスト・オブ・イヨネスコ 授業/犀

  • ISBN:9784560097526

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内容説明

〈この世界の「人間的条件の不条理性にたいする形而上的な苦悩の意味」の主題を、演劇固有の表現形式、つまり具体的な物、身体的な営為による視覚的イメージで提示しようとする試みに注目するマーチン・エスリンによって「不条理演劇」という呼称で括られた。この中で、より成功したのが、ベケットとイヨネスコの二人の作家だったと言えるだろう。前者は悲劇的に、後者は喜劇的に[…]その後の《新しい演劇》の作家たちに大きな影響を与えていった〉(本書「解説」より)。
女生徒に言語学を講じていた教授が意味不明すぎるほど錯乱してゆく「授業」、全体主義の滑稽さと恐怖を描きだす「犀」──ねじれる世界に笑いをとどろかす表題作のほか、不条理劇の出発点にしてパスティーシュの原点でもある「禿の女歌手」、前衛劇のモダン・クラシックである「椅子」、ロラン・バルトやブレヒトを皮肉る「アルマ即興」、僅かな言語に荒唐無稽なイメージあふれる「歩行訓練」の6作品を収録。
ベケットとともに不条理演劇の双璧をなすイヨネスコの、コミカルでグロテスクな名作集!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

燃えつきた棒

34
「犀」:これは面白い!獣道好きのプーチン先生にも、ぜひ読ませたい。それとも、もうとっくに読んでおられるだろうか? これはまさしく、今演じられるべき戯曲ではないだろうか? 二組の登場人物達の別々の会話が、しだいに同期・干渉していくところが面白い。 また、日常にさりげなく異形の物語を接ぎ木してしまう手つきは安部公房を思わせ、劇のテンションを一気に頂点まで高めている。/ べランジェとジャンがカフェで話をしていると、急に商店街の方が騒がしくなる。 なんだろう? 「豚だ!装甲車だ!犀だ!」/2023/12/27

かんやん

29
クスッと笑えるところもないでもない。ナンセンス、語呂合わせ、ディスコミュニケーション、反復、メタ構造…etc 。アンチ・テアトルと呼ぼうが、不条理劇と呼ぼうが、パターン化しているような。「演劇のメカニズムを空虚にしようと」して、残ったのは空虚だったということか。ベケットと違って、イヨネスコの言葉は凄みを徹底的に欠いていて、かなり軽快でコントのようなところも。劇場で観たらどんな感じかと色々と動画を検索してみたら、面白そうではないか。ブレヒトとロラン・バルト批判の即興劇はあからさま過ぎて嫌だな。2022/08/15

singoito2

10
読友さん切っ掛け。多くの哲学者が隠喩やイメージの研究の中で言う「詩」の愉しみ、あるいは本格的な文学作品の持つ重厚で濃密な味に舌鼓を打ちながら、軽妙で洒脱な空気感を吸い込むような感覚。たまにはホンモノに触れる必要があるなぁ、と実感しました。2023/08/20

猫またぎ

7
読んでも愉しいイヨネスコ。2023/07/28

Mark.jr

5
空虚な会話がドンドン言語そのものを破壊していく「禿げの女歌手」(個人的に本書一番のお気に入りです)。空回る会話はそのままに、ブラックな筋立ても兼ね備えた「授業」。初期の不条理感と後期の政治的問題意識が合わさった、転換点とも言うべき「椅子」。そして、一番明快なストーリーと風刺がある有名作「犀」。ベストというタイトルに見合った内容かと。2023/08/01

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