内容説明
主人公・葦原真理男は、九州の没落した旧家の末裔。新聞社に勤める父親の転勤によりロシアに暮すが、高校受験のために単身で帰国。父の友人の若い大学助教授・中之島妙子の家に寄寓し、異国からの転校生として特異な日常が始まる。高速回転する真理男の精神は、やがて晩年の感覚を所有し、自己昇華をめざす。パロディを駆使し、自意識を追究した、島田文学の初期集大成。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えとろん
23
屁理屈でなしに世界を把握できない真理男の短い生涯の記録である。外界に強い違和感を覚え、それにドン・キホーテのごとく立ち向かうところは、このころの島田雅彦の主人公の一典型。読者は主人公の屁理屈に苦笑しつつそれまでと違った真理らしきものに居心地の悪さにむず痒いような感覚を覚える。島田雅彦は世界を言葉によって脱臼しようとしている気にさせられる。この作品はそういったコンセプトで書かれた中での力作。2021/12/04
りっちー
1
初めて読む作家さん。たぶん、代表作はこれではない。次回、楽しみ。2015/08/23
こはた
1
主人公の壊れた方がぶっ飛んでいて面白い。僕も真理男みたいになりたい。2013/02/12
chobimal
1
みんな狂っていく…。読んだ後、嫌な気持ちになった。読まなきゃよかったと思った。でも、何故か最後まで読ませてしまう、作者の力と、暫く時がたてば、面白かったと思える不思議な本。2010/05/17
笠井康平
1
ぶっ壊れていく青二才の生涯。2011/09/23