内容説明
金(カネ)を発明したときから、人類のさまざまな不幸せは始まった――。ひとの儲けを皮算用する「他人の懐」や相続をめぐるドタバタの「被相続人」ほか、恋愛、結婚、形見分けと、お金が生みだすペーソスを、明るく笑いのめす12編。読み出したとたん、お金の摩訶不思議な力に搦めとられていた自分を発見。笑うしかない! お金に換算するから悩みが始まる。人生をカネで眺めたパスティーシュ。人生を金に換えるといくらになる?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん
24
お金や金に関する落語や物語、ノンフィクションなど。金(きん)に関する文章が面白い。金伝説を信じて航海に乗り出すマルコポーロやコロンブス。南米の金を奪取する為に殺戮破壊を尽くすスペインやポルトガル、ドイツ。金を求めてアメリカの西部やアラスカに押し寄せる人々。オーストラリアは金が出ると言うだけで人口が何倍にもなる。そして何百年も続いた錬金術。なぜこんなに金に群がるのか。熱狂するのか。山吹色の金についての考察。2020/02/12
Baro
12
「お金」がテーマ。エッセイのような,小説のような。それぞれおもしろかったけど,特に「安住の地」と「愛と希望」が心に残った。「事の初め」もよかったな。2013/11/08
Kaz
8
「~理科」「~社会科」ときての作品だったので、それまでと同じエッセイとして読んでいたら、表題通り物語だった。でも、「お金」というわかりやすいテーマと、理論だてた書きぶりに、ついついこれまでのエッセイと同じように読み進めていました。お金は手段であって目的ではないはずなんだけど、ついつい混同してしまいます。本書が、お金に対して考え直すきっかけになればと思います。2014/05/07
MIKETOM
6
これが書かれたのがバブル崩壊直前の絶頂期。だからこのタイトルなんだろうな。とにかく様々な角度からのアプローチで金、かね、カネの全12章。短編とエッセイ、蘊蓄などの混合。『黄金狂い』は人類が金(カネではなくキン)にどれほど取りつかれたかを書いたエッセイ。錬金術なんかにも言及しててなるほどねと勉強になる。『被相続人』は遺産相続に関する蘊蓄。俺も最近母親を亡くして相続にちょっとだけ関わったのでけっこう興味深く読んだ。まあ、その他清水節全開のユーモア系短編などもあってそれなりに楽しめる一冊。2019/09/26
かしまさ
6
お金は欲しい。そりゃ欲しい。そんなお金について一旦客観的に見てみようという本。読んだところで貯金は増えないと思うけどね。2015/10/01