内容説明
世界を制覇したラップミュージック、社会を映す鏡としてのマーベル映画、ネットフリックスの革命……政治や社会情勢とも呼応しながら、遥かな高みへと達した2010年代のポップ・カルチャー。その進化と変容、時代精神を総括する。日本の文化受容に警鐘を鳴らし、来る2020年代を展望する、過激で濃厚なポップ・カルチャー論。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミライ
26
タイトル通り、2010年代のポップカルチャーを宇野維正さんと田中宗一郎さんが総括した一冊(著者2名の対談形式)。両者ともに音楽系の評論家の方なので、話題はヒップホップ・ロック・EDM等の音楽系がほぼ大半を占め、それにマーベルを中心とした映画産業、「ブレイキングバット」「ゲーム・オブ・スローンズ」といったTVシリーズ(ネトフリも含む)を絡めて語られる。この時代のもう一つの一大カルチャーであるゲーム(絡めるのであればGTAとかCoDとかになると思う)の文脈がそぎ落とされたが、そこは文中でフォローされている。2020/03/14
踊る猫
22
流石に第一線で活躍して来たジャーナリストだけあって、どの分野の分析も精緻を極めている。だが、音楽に関する分析は音楽というジャンルの内部で通じる(「内輪」と言えば良いだろうか)語彙が多用されていて、一般的なリスナーに届かないのではないかと懸念する。その意味ではネトフリや映画を論じたパートの方にアクチュアリティを感じた。特にタナソウさんが勤勉な読書家であることが分かったことが収穫。彼らをしてここまで語らせる焦燥の内実が、極めてアブストラクトな形であれ本書の中に溶かし込まれているのでニヤニヤして読めるのも確かだ2020/02/17
ケー
20
2010年のエンターテインメント、ポップカルチャーを絶賛しつつ、そこにあるポリティカルな問題や、これからの展望について二人の評論家が対談した一冊。ラップにSpotify、ネットフリックス、マーベルなどなど、この10年間のありとあらゆるものをカバー。二人の見識の広さに脱帽するしかない。マーベル・シネマティック・ユニバースの章は最も見ていた作品群なので面白かった。特にアイアンマンとキャプテンアメリカの立ち位置やこの映画のポリティカル・コレクトネスについて。2020/02/29
たらお
18
ゲームオブスローンズの批評が読みたくて。結局、自分自身が好きなのは、アイデンティティをもったキャラクターたちの人格や特徴を、例え個々の人物が道徳性に反していたとしても、克明に繊細に描きだしている作品が好きだということ。その点で言えば、ゲームオブスローンズは、様々な王国ごとに視点が移り、主人公と思われる人物もすぐ死ぬなど、主人公中心に話が進まなかったことも、映画ではなくTVシリーズにあっていた。TVシリーズが原作の進行を追い抜いたとされているが、そうなると原作はどうなるのかが今後気になるところ。2023/11/12
zirou1984
17
タナソーによる「おわりに」の書き出しって完全にイタロ・カルヴィーノ『冬の夜ひとりの旅人が』だよねなんてどうでもいいことを思いつつ、本書は2010年代における英米を中心としたポップ・カルチャーがどのような構造と背景に成り立ち、いかに読み込むことが可能なのかを提示している。個人的には物語が形式を凌駕する時代になったという指摘に納得しつつ、格差の深刻化したこの10年において、同時にMCUやGOTといった集積された資本を乗りこなす圧倒的な超大作も生まれた時代であることに気付かされ複雑な思いを隠せなくなってしまう。2020/02/23
-
- 電子書籍
- 王都の行き止まりカフェ『隠れ家』 ~う…
-
- 電子書籍
- 【単話版】けがわとなかみ 第11話 バ…
-
- 電子書籍
- 次期社長に再会したら溺愛されてます【分…
-
- 電子書籍
- 現役大学教授が本音で教える いちばん安…