講談社現代新書<br> クオリアと人工意識

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講談社現代新書
クオリアと人工意識

  • 著者名:茂木健一郎【著】
  • 価格 ¥1,265(本体¥1,150)
  • 特価 ¥885(本体¥805)
  • 講談社(2020/07発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784065200667

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内容説明

「意識」は「コピー」できるか?
人工知能に「意識」は生まれるか?
茂木健一郎が、自身のメインテーマである「意識」と「クオリア」について、
16年の沈黙を破って書き下ろした、新たな代表作にして問題作!

人工知能の研究の進展が目覚ましい。
だが、人間は、なぜ人工知能を生み出すのだろうか?
その根底にあるのは、自分の「似姿」をつくろうとする本能である気がしてならない。
人間は、その知性を通して、「万物の霊長」たる地位を確立してきた。
そのような人間の知性の一つの究極の応用として、人工知能の研究、開発がある。人工知能の研究には、もちろん、実用的な意義も大きいが、それに加えて人間が自分自身の成り立ちを理解するという意義もある。
人工知能は、私たちの「鏡」なのだ。
その「鏡」の中には、果たして、「クオリア」に満ちた私たちの「意識」もまた、映っているのだろうか?
人工知能をつくることは、「人工意識」を生み出すことにつながっていくのだろうか。   
                                          <本文より>

☆本書で考察するテーマの一部
〇眠る前の「私」と、目覚めた後の「私」はなぜ同じなのか?
〇私たちは、「ホモサピエンス」(知性を持つ人間)である以上に「ホモコンシャス」(意識を持つ人間)である。
〇物質に過ぎない脳から、「意識」や「クオリア」が生まれてくる不思議。
〇「意識」は「コピー」できるか?
〇「人工意識」をつくることは可能か? 
〇人工知能が生成した文章は、「どこにもたどり着かない」?
〇統計的アプローチでは、「意識の謎」の解明はできない。
〇人工知能をめぐる議論に、ときに驚くほど終末感が漂うのはどうしてなのか?
〇記憶を「外套」だとすると、脳は、その外套を引っ掛けておくための壁に打たれた「釘」に過ぎないという考え方。
〇「私」という「意識」は、この宇宙の全歴史の中で一回だけのものであり、一度死んでしまえば二度と戻らないという「セントラルドグマ」は正しいのか?

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

ひろき@巨人の肩

92
人間とAIの対比から「意識」とは何かに迫る。難解だったが刺激的で面白い。意識とは、生命にのみ宿っており、クオリア(感覚のもつ質感)により脳内に形成された記憶の世界に「継続して」生じている「私」という存在。意識には志向性があり、無意識に対して「自由意志」という「拒否権」を駆使して、生命の身体性を制御している。一方でAIの強みは、知性獲得において時間に束縛されないこと。また、統計的アプローチの先には、統合外挿意思といった社会的意思へとつながる可能性がある。AIという「クオリア」を上手く形成していく必要がある。2023/01/02

ニッポニア

52
とても興味深い、哲学的で完全な理解はできていませんが。人工意識は人類の手前まできている。以下メモ。鏡の中の右と左が逆になる理由はまだわかっていない、人間の認知プロセスは謎だらけ。すでに人間を凌駕した人工知能、人間が働く必要がなくなったら、尊厳はどうなるのか、存在論的不安。人間が理解できない複雑な概念がAIの深層学習によって発見されてしまうかもしれない。意識に知性は必要なのか。2024/08/24

ころこ

35
平易で誰でも読み通せます。不用意な表現が多く、しかしそのため読み易いともいえます。分析哲学の系譜にあるクオリアの議論は必要最小限の論理構成をとりがちですが、本書の良さは論理の乏しさの周囲にあるノイズが豊富で、そのノイズが人間らしさと向き合っている印象すらあることにあります。ドイツ観念論やベルクソンの大陸哲学で論じられるのは、今、知っていることではなく、知らないことを予感すること。クオリアの問題は「意識」の問題であり、その中の指向性(フレーム問題)とは、結局のところ人工知能の人間らしさのことらしいのです。2020/08/07

ハチ

24
最終章の論考に感動した。僕は医学・人体側から脳を見ているので物理・工学側からの視座に触れ、両者をない混ぜ、いやいや、文学も哲学も芸術も何もかもを巻き込んでまた、学生だった頃のように必死に考えてみようと元気付けられた。「数が膨大に多い事」と「壮大な時間をかけている事」が意識のヒントな気がする。脳にニューロン、シナプスが多すぎるし、腸内細菌もあほほど多い。それぞれの関係や振る舞いの組み合わせが莫大な時間をかけて作り上げている中に、ふっと意識って現象が表出してるのだろうか。強い書籍でした!2020/08/28

鬼山とんぼ

9
これはいい本だな。養老猛司、福岡伸一、西垣通と読み進んで、動物における意識のありようとかコンピュータにおける情報処理の仕組みとか一応勉強してきたから、茂木さんの話は腑に落ちた。感覚における「実感」、言語における「納得」というのをクオリアというんだよな、きっと。ならこの本は私にクオったよ。西垣さんの本で人工知能は整理されごく単純化した正誤白黒しか処理できないと教わった。生物の置かれた複雑な環境では無意味だ。しかし単純化されたデータの大量処理ならコンピュータの方が効率的だ。上手に使い分けようねと教えている。2021/08/23

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