講談社学術文庫<br> ヨーロッパ世界の誕生 マホメットとシャルルマーニュ

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講談社学術文庫
ヨーロッパ世界の誕生 マホメットとシャルルマーニュ

  • ISBN:9784065202890

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内容説明

「地中海世界」の没落と「ヨーロッパ世界」の誕生、その背後で決定的役割を果たしたイスラムへの着眼――。歴史家が晩年の20年に全情熱を傾けたテーマ。ピレンヌの集大成にして、世界的に参照され続けている古典的名著、待望の文庫化!

目次

監修者序文
序文
第1部 イスラム侵入以前の西ヨーロッパ
1.ゲルマン民族侵入後の西方世界における地中海文明の存続
2.ゲルマン民族侵入後の経済的社会的状況と地中海交通
3.ゲルマン民族侵入後の精神生活
結論
第2部 イスラムとカロリング王朝
1.地中海におけるイスラムの伸展
2.カロリング家のクーデターとローマ教皇の同家への接近
3.中世の閉幕
結論

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まると

25
歴史学の凄みを感じさせてくる一冊。ゲルマン民族が侵入しても変わることのなかったローマ的な社会が、イスラム勢力の地中海進出によって一気に崩壊し、その余波で北方にキリスト教と封建制が支配する新たな世界が現出したと説いている。歴史の劇的な流れを体得できると同時に、欧州の中世社会誕生のプロセスを学ぶことができて、得るものが多かった。60年前の訳書を文庫化してくれた出版社に感謝したいが、不知の人物や地名が怒涛のように出てきて読み疲れる。文庫化にあたり、せめて王朝の家系図やより詳細な地図、年表等を織り込めなかったか。2021/07/18

ヒナコ

13
ヨーロッパ世界が古典古代から中世社会に移行したのは、「蛮族」たるゲルマン人がローマ帝国に「侵入」したからではなかった。彼らはむしろローマ世界に同化しようと努め、コンスタンティノープルにいるローマ皇帝に自分たちを「ゲルマン人の王」として承認させようと努め、ローマ的な秩序を維持しようとした。→2022/09/16

Hiroshi

6
「ピレンヌ・テーゼ」が書かれている本。中世ヨーロッパはイスラムの影響により始まった。古代ヨーロッパの終了はゲルマン民族大移動や西ローマ帝国の滅亡とは関係無い。イスラムの台頭によって地中海世界の統一が崩壊した。これによりカロリング朝の台頭に繋がったのだ。本書の題名の「ヨーロッパ世界の誕生」は訳者がつけたもの。本来の題は「マホメットとシャルルマーニュ」だ。マホメットなくしてはカール大帝の出現は考えられない。その意を表した題だが、ヨーロッパ史をよく知らない人には何だか分からない。そこで訳者が判り易い題をつけた。2024/09/27

Copper Kettle

4
ゲルマン民族の侵入により滅亡した西ローマ帝国だけど、その地に定住したゲルマン民族たちは新しい世界を作りあげることができず、ローマ世界は帝国の滅亡後も存続し続けたとのこと。その後イスラムの台頭によりアフリカとイスパニアが征服されると、地中海は西と東で分断され、西欧文明の枢軸は地中海から北方へと移動、ローマ世界は終焉を迎える。さらに地中海の分断により商業活動も衰退して、王たちの富の源泉は関税から不動産に代わり封建制が成立していくという経路を解き明かしてくれる本書には魅了された。名著ってのも頷けるね。2021/10/05

ポルターガイスト

3
『中世都市』と併せて読んだ。かなり面白かったけど説得力を持たせるための史料やエピソードの細かな引用が多いので,ピレンヌ・テーゼの学習というだけのモチベーションで読むなら骨だけで構成されている『中世都市』のが早いかもしれない。2023/04/03

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