内容説明
優しい鍛冶屋の義兄ジョーに育てられている少年ピップは、あるクリスマス・イヴの晩、脱獄囚の男と出会う。脅されて足枷を切るヤスリを家から盗んで与えた記憶は彼の脳裏に強く残った――。長じたある日、ロンドンからやってきた弁護士から、さる人物の莫大な遺産を相続することを示唆されると、貧しいながらも人間味ある生活を捨て去り、ピップは大都市ロンドンへと旅立つのだった……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェルナーの日記
257
上巻は主人公ピップ少年が、”大いなる遺産”の相続権を得た?ことで、紳士になるべく片田舎からロンドンで生活を始めるまで描かれる。相変わらず描写力が冴えていて本物語の人物描写は凄い。登場人物の一人ひとりが個性的に描かれている(いわゆるキャラが立っている)。なかでもピップの心の中の思いと表面上の態度の違い(ギャップ)を巧妙に表現していて、それだけでコメディーとして面白く、物語として成立するくらいだ。『罪と罰』などの名作を残したドストエフスキーはディケンズの作品を愛読していたという。言われてみると作風が似ている。2021/10/08
優希
53
どこまで優しいのか、ジョーはと言いたくなります。貧しくても人間味ある生活はジョーがいるからなんですよね。しかしピップは今の生活よりロンドンでの生活を選ぶことで、どうなるのかが気になります。下巻も読みます。2024/01/29
aika
42
富の有り無しが生きる世界を分け、かつて一緒に過ごした日々が隔たっていく…。両親を亡くした少年ピップは、育ての親である姉や親族の横暴に耐える日々。唯一本当の家族のように優しく接し、守ってくれた義兄の鍛冶屋ジョーの温かさが沁み入ります。ひょんなことから町の大金持ちミス・ハヴィシャムに気に入られ上流階級の世界を知り、莫大な遺産を継承することになったピップが、ジョーたちを卑しむようになるのは悲しさが募ります。ジョーがピップにどこかよそよそしくお別れを言う場面は、切なさが込み上げました。今後のピップが気になります。2021/07/24
Shun
34
ディケンズ作品。両親はなく姉夫婦のもとで育てられた少年ピップは、幸運にも莫大な遺産を相続する好機を得たことから相応しい紳士となるため大都市ロンドンへ旅立つ。上巻は貧しい暮らしぶりから急に豊かな生活へと変わり、それに伴いまだ未熟な少年がそれらの変化をどう感受していたかを描いています。ピップが遺産を相続する相手がだれであるか明かされないことや、また初めに少年が出会い脅されながらも助けることとなった脱獄囚との縁が今後どう繋がるのかといった謎も気になります。当時の英国の貧しい生活描写などディケンズならではの作品。2021/10/20
特盛
30
貧乏な家で育てられる親なし児、ピップ。育ての親は意地悪な姉と心優しいその旦那ジョーだ。ここではない自分、紳士に憧れる彼の下に知らない大金持ちからの遺産相続の話が舞いこむ。人生の大転換点だ。共同体や価値観まで環境は全く変わってしまう。そしてそれは自分の変化も促す。それは偶然性、外在的な変化で故にピップは悩みを葛藤しながら変化と向き合う。誰しも「故郷」から離れ自立する時のモヤモヤがあるのではないか?そんな感情に訴えかける上巻であった。ガーディアン10002025/04/08
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