彼女たちの部屋

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彼女たちの部屋

  • ISBN:9784152099389

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内容説明

現代、パリ。大きな挫折のあと、弁護士のソレーヌはある保護施設で代書人のボランティアをはじめた。「女性会館」というその施設には、暴力や貧困、差別のせいで住居を追われた人々が暮らしている。自分とはまるで異なる境遇にいる居住者たちの思いがけない依頼に、ソレーヌは戸惑った。それでも、一人ひとりと話して、手紙を綴るなかで、ソレーヌと居住者たちの人生は交わっていく。ここで自分の役割を見つけたと思った矢先、事件は起きた。約100年前、パリ。救世軍のブランシュは街中の貧困と闘っていた。路頭に迷うすべての女性と子供が身を寄せられる施設をつくる――彼女の計画は、ついに政治家・財界人も動かしつつあったが……。実在する保護施設と創設者を題材に、時代を超える女性たちの連帯を描く、『三つ編み』の著者による長篇小説。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アン

117
パリに実在する保護支援施設「女性会館」に関わるふたつの物語。現代篇では弁護士の女性がボランティアを通し居住者との交流を、1920年代篇では施設の創設にあたり奮闘する救世軍の女性の姿を描き出します。時を越えた二人の女性に共通する想いは、様々な運命に翻弄され、社会に打ち捨てられ困窮を極めた女性たちに、手を差し伸べること。試練との闘い。彼女らに寄り添う人々も印象的。確固たる信念と果敢さに心が揺さぶられ、救済の難しさを痛感。人生に光を取り戻す意義。部屋とは希望を宿す自分の大切な居場所。愛ある新しい世界。 2020/07/02

fwhd8325

103
「三つ編み」の感動を再び。著者は映像作家の方だけあって、場面場面の描き方が巧いと思います。前作もフェミニズムがテーマでしたが、今回も史実に基づいた物語です。読み終えた後に爽やかな力強さを感じます。2022/02/24

どんぐり

91
レティシア・コロンバニは、フランスの小説家で映画監督。いま日本で公開中の『ハッピー・バースデー 家族のいる時間』のマリー役で映画出演もしている。小説家としての第1作は『三つ編み』のフェミニズム小説。この感動的なデビュー作に比べると、第2作目にあたる本書は期待が大きかった分、少しもの足りない。舞台は、パリに実在する困窮女性の保護施設「女性会館」。そこで代書人のボランティアを行う弁護士と施設で暮らす元路上生活者、DV被害者、難民などの交流が描かれている。一人ひとり生活背景は複雑だが、描き方は表層的である。一方2021/01/07

Vakira

90
現実2020年パリ、路上生活者は3,352人。東京は1,126人(2019年)なので東京の3倍程いる。難民受入の関係でパリは多いのかもしれない。パリの場合その内女性は402人、12%もいるとう。レティシア・コロンバニさん 前作「三つ編み」が気に入ったので新作を読んでしまう。ヤッパいいわ~前回は3つの場所が同時進行。今回は同じ場所での100年も前の過去と現代が入替り同時進行。この進行構成、まるで映画。どう繋がるか想像力を湧き立てられる。発端はエリート女性弁護士、担当被告の死が銃爪となりバーンアウトしてしまう2020/08/18

Ikutan

83
『三つ編み』がよかったのでこちらも。クライアントの突然の自殺で燃え尽き症候群となり鬱に陥ってしまった弁護士のソレーヌ。医師の勧めで、『女性会館』での代書ボランティアを始める。この『女性会館』には貧困、虐待、暴力などで困窮する女性たちが暮らしていて、最初は戸惑うソレーヌだったが..。迷い、悩みながらも代書を通じて交流し少しずつ自信を取り戻していくソレーヌ。間には女性会館設立に尽力したブランシュとアルバンの物語。ハチドリの1滴のような小さな一歩の力を説く。まずは知ることから。多くの女性にエールを送ってくれる。2020/10/11

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