内容説明
戦前、多くの日本人が「国体」思想に飲み込まれ、戦争に動員されていった。なぜ日本人は、この流れに抗えなかったのか? 総力戦に敗北した後、天皇は連合国軍最高司令官に「従属」する形となった。実際にはアメリカ大権となっているにもかかわらず、鋭敏な知識人ですら、それを直視できずにいるのはなぜか? 戦時期に教育の場で広く読まれ、国民に深甚な影響を与えた『國體の本義』の解読をとおして、戦前・戦後を貫流する日本人の精神の「無意識」を問う。ふたたび日本が内閉しようとしている今、来し方行く末を考えるに際し、必読の書!
目次
序論 『國體の本義』の恐ろしさ
忘れられた本
総力戦に備えて
『國體の本義』の解説書
中学校の教授要目
国体明徴運動
天皇機関説
なぜ国体明徴なのか
『國體の本義』の恐ろしさ
皇国主義
マルクス主義、ナチズムと張り合うロマン主義的総合
洗脳は解けたのか
第Ⅰ部 『國體の本義』を読む
国体という呪縛
会澤正志斎の『新論』
『國體の本義』の構成
1・1 天壌無窮の神勅
国体について
国体の定義
天照大神の神勅
神代七代
天照大神
天孫降臨
神鏡奉斎
天壌無窮
万世一系
三種の神器
神勅の構造
ユダヤ教との類似
ユダヤ教の契約
神勅はどういう契約か
神勅は無条件
約束の地
誰が王になるか
1・2 天皇
神武天皇
現御神
帝国憲法の条文
北一輝と皇道派青年将校
憲法のパラドクス
市民革命と憲法
社会契約説と憲法
市民革命の神話
欽定憲法のスタイル
帝国憲法の場合
イギリスの場合
現人神の神話
現人神のさじ加減
帝国憲法は両義的
現人神の正体
天皇は神裔
祭政一致
国土経営
おほみたから
だめな天皇
列王記
天命と神勅
徳があるのか
忠孝一如
1・3 臣民
臣民は要注意
臣と民
臣民の忠節
人民との違い
忠の道
忠君と愛国
忠の序列
君側の姦
孝の道
忠孝一本
和について
軍事力と和
和の諸相
まこと
1・4 国史
国史とは
建武中興
尊皇思想
天皇と憲法
1・5 国土と国民
国土と職業
風土
1・6 祭祀と道徳
宮中祭祀
神社祭祀
1・7 学問と科学
科学と国体
1・8 政治・経済・軍事
政治体制
神勅と憲法
政体
経済
軍事
1・9 結語
新文化の創造
西洋思想
中国の思想
西洋思想との対峙
日本と世界
1・10 国体のゆくえ
国体と教育
国体と世論
第Ⅱ部 天皇親政とアメリカ大権
2・1 なぜ天皇親政説なのか
思想のバトル
個人主義
後退戦
正面戦争
さまざまな普遍性
天皇親政とは
信念の構造
老舗の酒屋
立憲君主制と伝統君主制
忠誠の対象
憲法の統帥権
聖霊とはなにか
聖霊と、天皇親政
近代軍とミカド軍
なぜ戦死するのか
なぜ玉砕するのか
硫黄島の戦い
統帥権の独立
張作霖爆殺事件
天皇親政説のパラドクス
2・2 天皇の近代
天皇という君主
英国王室と国教会
天皇と神道
皇統連綿
神国日本
尊皇思想
忠と孝
忠(義)の拡大
忠(義)の脱構築
正統な君主
尊王論の特質
イスラムの王
インドの王
中国の皇帝
皇国主義の特異性
強力な国営の運動
立憲と親政
防衛反応
改宗する天皇
ネイション結集の核
国体は守られたのか
2・3 アメリカ大権
天皇の大権
大権をしのぐ権限
なぜ護憲
親政との類似
独立とアメリカ大権
日本は保護国
主権と条約
自主憲法制定
アメリカ親政
国体は守られた
2・4 三島と吉本と国体と
法学部の三島
遅れてしまった慚愧
呪詛の声
裏切りなのか
戦死の、ふたつの相
三島の美学
「人間宣言」の背後
脱洗脳プログラム
見て見ぬふり
八月革命説
演技と憑依
責任は誰に
楯の会
国際反戦デー
二・二六を真似る
ほんとうの二・二六
三島は宮城を狙ったか
人間宣言を取り消す
取り消しの強要
襲撃の結末
三島の分裂
三島のねじれ
三島の戦後
父と子
『共同幻想論』の場合
『國體の本義』を清算する
内閉を打破せよ
2・5 大東亜共栄圏の残照
台湾総督府
本省人と外省人
二・二八事件
台湾の民主化
朝鮮総督府
韓国と北朝鮮
金王朝と主体思想
あったことにされた革命
迷走するナショナリズム
なぜ反日なのか
国体の残滓
結論
何に負けたのか
もうひとつの病気
普遍主義は有効か
皇国主義に内在すれば
醇化と純化
皇国主義をほどく
あとがき
参考文献
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trazom
ナリボー
がんぞ
老齢症状進行中
とらちゃん