内容説明
こんなに強くて、これほど面白い男は、ほかにいない――。最強の柔道家・山下泰裕氏をして「私にとって、最大にして最高のライバル」と言わしめ、オリンピックで2つの金メダルを獲得した斉藤仁。彼がこの世を去って、5年以上が経つ。享年54。あまりに早く逝ってしまった。しかし、彼が歩もうとした道は人々に受け継がれ、いまもその歩みは続いている。「柔の道」とは何か。どこに向かっているのか。なぜ、あれほど厳しい鍛錬を積むのか……。日本を代表する柔道家(全日本柔道連盟会長・山下泰裕氏、講道館館長・上村春樹氏、柔道日本代表監督・井上康生氏、国士舘大学柔道部監督・鈴木桂治氏など)や、斉藤が愛した家族たちなど10人が、さまざまな秘話とともに綴る。私たちは、あなたの道の続きを歩いていきます―ーみなの溢れる思いに、涙が止まらない。
〈本書の目次から〉
「次の五輪も一緒に見守ろう」 山下泰裕 全日本柔道連盟会長、日本オリンピック委員会会長
「おまえがいなければダメなんだ」 川野一成 国士舘中学・高等学校柔道部総監督
「精力善用、自他共栄」 上村春樹 講道館長
「あなたの言葉の意味が、最近わかるようになってきました」 鈴木桂治 国士舘大学柔道部監督
「新しい柔道をつくっていく」 井上康生 柔道日本代表監督
「ぜんぶ覚えてるよ」 斉藤一郎 斉藤仁の長男
「もう俺はガキやない!」 斉藤立 斉藤仁の次男
「あなたの道の続きを歩んでいく」 斉藤三恵子 斉藤仁の妻
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鉄之助
222
柔道・五輪2連覇の斉藤仁が54才でなくなって5年。家族や関係者10人が、十人十色の思いのたけを綴った。長男・一郎の手記「鬼だ!」が鮮烈。家族旅行先でも練習、1センチでも足の位置がずれると鉄拳が飛ぶ…などなど厳しく育てた結果、実際に家出をしたことも。後に、1センチどころか1ミリにこだわっていた、と山下泰裕に聞き一郎は父の偉大さを思い知る。斉藤を「斉藤仁」たらしめた、細かなエピソードがそれぞれの口から丹念に語られていた。体型才能もそっくりで有望選手に育っている次男・立(たつる)の2024年五輪出場が待ち遠しい2020/08/04
金吾
11
○良かったです。斎藤仁さんの人柄、信念がよく伝わる本です。また日本柔道を支え、後輩に引き継げたのだなとも思いました。2020/09/19
chuji
3
久喜市立中央図書館の本。2020年6月初版。書き下ろし。関係者や家族が斉藤仁の思い出を綴った本。斉藤さんが亡くなって五年、生年では斉藤仁は二年下、山下泰裕は一年上でオイラの同世代です。2020/09/03
Go Extreme
2
勝負:気持ちの持ち方ひとつで変わる 稽古場での仁ちゃんの気迫や努力のすさまじさ 日本一になりたかったら日本一の努力 非常に器用で粘り強い面 稽古というより修行 ほんとうに鬼以外の何ものもなし 強くなるためには稽古・勝つためには研究 柔道に対する熱意のすさまじさ すべてにおいて追求の仕方が尋常でなし 高田、逃げんなよ 病気になったときでさえ下は向かず 稽古はウソをつかない 大切なものは心のなかにあるんだ。ほかのことは、どうでもいいんだよ 勉強だけでは味わえない感動、ほんとうに心を揺さぶられる瞬間を何度も経験2020/08/12
Tsuneyuki Hiroi
1
小学3年生から高校3年生まで、柔道をしていた私にとって、山下泰裕、斉藤仁の両氏は神の領域にいた存在だった。特に山下氏は全日本選手権9連覇を達成し、最後の数年間は斉藤氏との死闘を決勝戦で演じた。 山下氏引退後の斉藤氏の奮闘ぶりは覚えている。1988年の全日本選手権の優勝、ソウル五輪の優勝の試合はよく覚えている。闘志剥き出しの戦いぶりは、相手を寄せ付けなかった。 この本は、斉藤氏に親しい人々によって斉藤氏を書かせたものだが、最期の奮闘を描いている。特に斉藤氏の連れ合い、三恵子さんの文章は涙無くしては読めない。2020/07/23