岩波新書<br> 北米体験再考

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岩波新書
北米体験再考

  • 著者名:鶴見俊輔
  • 価格 ¥814(本体¥740)
  • 岩波書店(2020/06発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784004150992

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内容説明

一九三〇年代後半米国に留学し,三〇年後そのインドシナ介入に対し積極的な反戦活動を進めている著者は,北米の民主主義的伝統を再考しつつ,それを黒人や原住民の側からとらえ直すことを試みる.文芸批評家,詩人,SNCCの活動家,黒豹党の行動と思想を追求する中で著者の北米体験は深刻な反省を強いられ,新たな米国像が浮彫される.

目次

目次
序章 ケムブリッジ―東ボストン
第一章 マシースン
抑圧の時代
30年代
不完全性の象徴の必要
批評の二重の性格
コンコードとエマソン
象徴としての『白鯨』
40年代
第二章 スナイダー
西部劇映画のインディアン
ロウジャー・ウィリアムズ
インディアン保留地の声
ハイアワサとデガナウィダ
天地創造
ビート世代の登場
インディアンとスナイダー
日本文化とスナイダー
詩と科学
フロンティアの新しい意味
第三章 フェザーストーンとクリーヴァー
スニックの誕生
ミシシッピ州自由学校
ジンとフェザーストーン
フェザーストーンの死
黒豹党の誕生
クリーヴァーの出発
哲学教師ラヴジェフ
こころとからだ
留学の位相
終章 岩国
あとがき
人名索引・地名索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

奥澤啓

50
鶴見俊輔氏が逝った。いつかこの日がくることはわかっていたけれど、喪失感が大きい。高校生の時に初めて読んだ鶴見氏の本がこれだった。これから著作集を読み直す。2015/07/26

きいち

17
スリリング。1939年にアメリカにわたりハーヴァードで哲学を学んだ鶴見が、人種差別や主流派の暴力性、そしてそこからの起ち上がりといった「そのとき見なかったアメリカ」を通して再度アメリカを体験しなおす過程が語られる。経験をもとに一つの物語を作った者は、それが強固であればあるほどその物語に縛られる危険を持つのは見慣れたことだが、この体験し直し、学びほぐしができてしまうのは誰よりも経験の価値を知る鶴見だからこそ。「体験から考えるという方法は、体験の不完結性・不完全性の自覚をてばなさない方法である」肝に銘じたい。2014/02/05

Bartleby

9
アメリカで哲学を学んだ筆者が、その時には見えなかった黒人やインディアンなどの人物、歴史の側から改めてアメリカを捉えなおしていく。ある体験から考えていくこと、それは完全ではありえない。でもだからこそそこから何かを汲み取り続けることができる。体験を手離さず今の知識と絡めることでその時に気付けなかったものを浮き彫りにし、それを今気付けていないものをさがすための手がかりにしていく。この一連のプロセス、その手法に鶴見さんの知性の本質が表れているように思えた。2012/01/28

スズツキ

6
現代ではほとんど読まれていないが、各所で目にする1冊。発刊当時(1971年)、岩波と中公で前後して所謂「紀行もの」の名著がどんどん出ていたので、タイトルからこれもその一つと思っていたが、実は文化・思想評論が主だった。出てくるのは今ではもう埋もれてしまったものばかり。もう一度日が当たることはあるのだろうか……。2017/03/05

v&b

1
10 "米国市民ではあっても、黒人には、(選挙資格を得るための読み書き能力試験というのがあって)、事実上は投票する資格もうばわれているものが多く、言論の自由もされているということなど、この時は、考えることもできなかった。自分が米国市民に保障されている権利をあたえられていないということさえも、今度の災難でようやくわかったばかりなのだから。 その時、私はハーヴァード大学哲学科の最終学年におり、一九歳だった。勉強だけで一日の時間の大半をとられていたので、学校に歩いてゆき、"2019/08/22

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