内容説明
私の育て方が悪かったんですよね
「普通」の幸せに背を向ける娘にいらだつ「私」。
ありのままの自分を認めてと訴える「娘」と、その「彼女」。
ひりひりするような三人の共同生活に、やがて、いくつかの事件が起こる。
韓国文学の新シリーズ「となりの国のものがたり」第2弾!!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
84
日々、老いていく「私」。身体が軋み、できない事が増えていく事に嘆く彼女は、認知症のジェンを世話することで死に緩慢に近づきつつも、吐き捨てられたガムのように味気なくもしぶとい生を見つめるしかなかった。そして「善人」である「私」でも同性愛者の娘を自分の育て方への罰や恥だという考えから逃れられない。だからこそ、自分達の為でなく、未来のために差別と戦う娘達の活動にも「何故、こんな得にもならない、無駄な事をするのか」と拒絶を示してしまう。これはとても身近な家族の問題を抉り出した作品だ。2019/09/07
アマニョッキ
62
母親というのは本当に厄介だ。「わたしに落ち度があったのかもしれない」この言葉が胸をうつ。わたしがきちんと産んであげられなかった。わたしがきちんと育ててあげられなかった。わたしもいつも思ってしまう。「きちんと」の正解なんてどこにもないのに。キム・ヘジンという作家の強さが溢れている作品。今回も素晴らしかった。2020/02/20
りつこ
46
「善い人」として生きてきた母親が、娘の同性愛を恥ずかしく思い、育て方が悪かったのか教育を与えすぎたのがかえってよくなかったのかと悩む姿には「娘の生き方を認めてあげなよ」という思いを抱きつつも、気持ちはわかるので身につまされた。介護施設で働く彼女は、若いころにアメリカで学びヨーロッパで活躍し自身とは全く関係のない子どもたちを援助したジェンの介護をしているのだが、認知症が酷くなったジェンは待遇の悪い施設に送られるのを目の当たりにする。死ぬまでが長くなった今日これが誰にも訪れる現実なのかと思うとやりきれない。2019/07/28
星落秋風五丈原
44
多分日本にも同じ題材を扱った本はあるんでしょうね。でも韓国文学にこえられちゃったなぁという気がします。オンマのイメージも時代によって変わらざるを得ないですね。2019/01/23
あじ
42
“娘について”─私に落ち度があったのかもしれない。大学まで出した娘がパートナーと出戻り、老人介護施設で汲汲と働く母を苦悩させる。世間に顔向けできない特殊な事情を孕ませながら、母と娘の相反した理想的家族を描く。今を生きていく事だけで精一杯、虚しさに捕らわれていたら物語は完結しない。◆「シン・ドンヨプ文学賞」受賞作◆次に韓国文学を読むなら「モンスーン」ピョン・ヘヨン著2019/09/24