内容説明
ドライブに連れていって。赤いスポーツカーで――。夫を失った事故ののち、車椅子の生活を送ってきた叔母は若い娘のようにそう言った。やがてわたしは、彼女が秘めていた思いに気づく(表題作)。大切な人と共にした特別な一日。その風景は死を意識したとき、さらに輝きを増してゆく。人生の光芒を切ないほど鮮やかに描きあげ、絶賛を浴びた傑作短編集に、新たに「今日の別れ」を加えた完全版。(解説・北上次郎)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
nemuro
51
2020年5月「TSUTAYA滝川店」にて購入。『飢えて狼』(1981年)でのデビュー以降、作家・志水辰夫について北上次郎氏の「解説」に詳しい。思えば、その頃(1980年代前半)の私は『読まずに死ねるか』(内藤陳)などを参考にハードボイルド・冒険小説にも手を出し始めた頃。『深夜プラス1』とか『鷲は舞い降りた』とか海外本に始まり読みたい本のジャンルがグッと広がってしまい、ずっと気になりつつ未読の作家。冒険小説ではない。季節と風景が丁寧に書き込まれ、かつ研ぎ澄まされた文章。読者の想像力がくすぐられる。うまい。2024/07/13
たぬ
30
☆4 9編+文庫化の際の書き下ろし1編。どの話も直接・間接の違いはあるにせよ死が出てくる。でもことさら悲しさを強調してはおらず、むしろなんとはなしに心が温かくなるものが多い。死期の迫った年の近い叔母に振り回されるのを楽しんでいそうな表題作と「義姉さんはお前に謝りながら死んでいった」と妻につく噓が優しい「噓」が特に好き。2022/06/07
のんちゃん
29
大切な人の死、己の死を意識した時の人の内面の光と影を描いた短編集。内容、文体共に白石一文さんの作品をよりソフトにした印象だった。『本の雑誌』の立ち上げ人の一人であり、また、その編集長も務められた書評家北上次郎氏が、自身の最も愛する短編集と帯に書かれているので興味があった。いろいろと感じ入るものはあったが、私の読解力や経験値では、まだこの作品の半分くらいしか味わえないのではないかと感じた。まだまだだなぁ(^_^;)2021/06/18
じぇりい
12
いつかは誰にでも平等に訪れる死。自分自身、家族、友人など愛する人の死と向き合う男たちの短編集。読友さんの熱いレビューに即ポチして、丁寧に書かれる風景描写、人物描写、心情描写。その静謐な世界にのめり込めるはずだったのに何かが違う。ここで扱われる死は静かで美しすぎる。私の中で死に対する考え方、捉え方が変わってきたため、どうしても読みながら斜めに構えてしまい純粋に楽しめなかった。これは物語として駄目だったのではなく、もっと早くに出会いたかった本。完全に読む時期を外してしまったのが原因だと思う。2020/07/18
Nobuko
12
人生の終わりに近づいた男たちのお話 どの話も結構読み応えありました2020/03/20




