内容説明
令和。二〇一〇年代の終わり、二〇二〇年代の始まり。インターネット・ミームに覆われ、フィリップ・K・ディックが描いた悪夢にも似た、出来の悪いフィクションのように戯画化された現実を生きるわたしたち。だが、本を読むこと、物語を生きることは、未来を創ることと今も同義である。未来は無数にあり、認識可能な選択肢はつねに複数存在する。だからこそ、わたしたちは書物を読み、物語を生き、未来を創造せねばならない。ディストピア/ポストアポカリプス世代の先鋭的SF作家・批評家が、無数の失われた未来の可能性を探索する評論集。社会もまた夢を見る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
おーすが
14
SF作家樋口恭介のエッセイ・批評集。ロジカルなロマンチストと言う感じでとても素敵と思った。イアン・マキューアン『贖罪』、読んでみたい。2020/11/01
しゅん
11
著者は未来のことを書いているのだが、同時にずっと死者について書いている。マキューアン『贖罪』の重厚な(良い意味でオールドファッションで、ヴィンテージ感のある)批評や、元岐阜県知事梶原拓について書いた「亡霊の場所ー大垣駅と失われた未来ー」に顕著だが、死を考えることが彼にとっての未来なのだと思う。まえがきとあとがきはエモーショナルだな~2020/10/12
渡邊利道
11
SF作家の批評的エッセイ集。批評家的資質を自負しているようで、実際切れ味鋭い文章は大変心地いい。まあ内容的にはほぼ初出で読んでいるものだが、こうやってまとまってみると作者の問題意識のぶれなさ具合と作品に触れる時のある種のミーハー的軽はずみさと文体の思い切った外連味が絶妙のバランスでブレンドされていて、読んでいてするする文章が頭に流れ込んでくる。ある意味あまりにも「今」すぎるので、むしろ今よりももっとずっと後になってから読み直して咀嚼する必要があるかもとかも思った。2020/07/09
donut
9
熱のこもった文章や時折挿入される個人的な回想などから著者の人物像が浮かび上がってくるような書評、エッセイ集でした。思弁的実在論など気になる。2020/08/09
記憶喪失した男
8
書評、評論集、批評本のような何か。無駄な文章のない洗練された文体で書かれた読みやすい本。長さも手ごろ。がつーんとやられる要素こそなかったものの、とても気合いの入った労作だと思う。樋口恭介は新作を追いかけたくなる作家だ。2022/04/03
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