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内容説明
森鴎外を生涯師と仰いだ荷風。「森先生の伊沢蘭軒を読む」「鴎外記念館のこと」などの随筆、大正十一年~昭和三十三年の鴎外忌の日録を収める。そのほか向島・浅草をめぐる文章と、自伝的作品を併せた文庫オリジナル随筆集。巻末に谷崎潤一郎「『つゆのあとさき』を読む」、正宗白鳥「永井荷風論」を付す。
〈解説〉「鴎外と荷風」森まゆみ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Ribes triste
17
永井荷風の描写と表現力にはいつも感嘆させられる。言葉の選びや並びの調子も、さながら音楽を聴くよう。巻頭の「鴎外先生」の森鴎外への追悼文は、とても優しく美しい。色々と言われる荷風ですが、ひねくれ度合いも、あまりに率直な感情の発露の仕方も、どこか憎めないのです。付録の谷崎潤一郎「つゆのあとさきを読む」、正宗白鳥「永井荷風論」はそれぞれの人柄がよく出ていて、面白い。正宗白鳥さんの人柄の優しさに感じ入りました。そして、谷崎はやっぱり谷崎でした。2020/03/01
風に吹かれて
13
森鷗外のこと、向島・銀座・浅草のこと、など。荷風が鷗外を師と仰いでいたことは知らなかった。荷風はフランスやアメリカで学び、そして鷗外に招聘されて慶應義塾大学に職を得たこともある。鷗外の墓が向島にあったことも向島界隈を逍遥する契機でもあったようだ。当時の街で催されていた数々の演劇や身を売る女性たちの姿を知る由もないが、荷風の文章で描かれる人々の懸命さや欲がぼんやりとした明かりに滲んで見えてくるとき、政治的なものと関わろうとしなかった荷風の精神の自由さを感じた。➡2020/03/16
浅香山三郎
10
表題作「鷗外先生」をはじめ本書の三分の一は鷗外に関する永井荷風の随筆。残りは、「Ⅱ 向島・銀座・浅草」、「Ⅲ 書かでもの記」であるが、Ⅱのうちの向島は鷗外の東京で最初の居住地であり、かつて墓所があり、Ⅲは自伝的な文章だが、師事した鷗外と上田敏に触れてをり、関連し合ふ。荷風が鷗外の史伝『伊沢蘭軒』に魅了された思ひを述べ、『渋江抽斎』の面白さを説き、鷗外歿後の全集編集や墓参を詳述するのを読むと、『断腸亭日乗』の記主らしい記録者としての性質に同じ姿勢を感じた。江戸期の文物への愛惜、濹東への郷愁、師への思ひなど↓2022/09/29
イボンヌ
5
幼い頃から四書五経に通じ漢詩や古典を読み、フランス語が堪能だった永井荷風さん。教養を身に着けたい2020/02/16
はるたろうQQ
2
荷風が鴎外を慕ったのは自分と同じで外国語と漢詩文をよくしたことにあるだろう。解説の森まゆみによれば鴎外も同じだったようだ。荷風は一世代前の教養を身に付けた大正時代には稀な存在だった。当時の小説家では外国語を読めた者はいただろうが、漢詩を作る者は稀だったろう。漱石も午前中「明暗」を執筆して午後は漢詩を作っていた。荷風の文壇に感じる違和感はそこにあったのか。また父や祖父と同じく官吏であったことも影響があるのかもしれない。荷風には多くの小説があるが、その評価は難しい。結局、断腸亭日乗が一番面白いのかもしれない。2025/07/28
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