内容説明
本邦初!究極の“かき氷グルメ”小説!
三年前、陶子は奈良の氷のお祭りで母とともに「日進月歩」というかき氷を食べた。初めての味に感激したが、母の笑顔を見るのはその日が最後となってしまった。それ以降「日進月歩」と削り手の炎炎老師を追い求める陶子は、「氷の月光伯」という異名まで持つ有名かき氷マニアの恋人・一輝と二人で氷を食べ歩いていた。しかし些細なすれ違いをきっかけに失恋、氷への熱も冷めかけてる。
そんな折、脱サラして亡き母の喫茶店を受け継ぎ、コーヒーとサンドイッチの店「タカサキコーヒー」を切り盛りする父・大輔が、相談もなく氷削機を買ってきた。かき氷のコンテストに出るという。
母が体調を崩したのはかき氷のせいだと思っている妹の沙羅は父に反発する。陶子も乗り気ではなかったが、大学でかき氷サークルに所属する友人・瑞希に巻き込まれ、大輔のかき氷作りに参加することになった。コンテストに出せるレベルの味を見つけるため、陶子たちは大阪中のかき氷を食べ歩くが……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐々陽太朗(K.Tsubota)
88
最近、かき氷がブームになっており、そのかき氷が私のような年寄りが知っているものとは全くレベルの違うおいしさなのだということは噂で聞いてはいた。しかし世の中にゴーラーと呼ばれるかき氷愛好家で全国有名店を食べ歩く人がたくさんいることまでは知らなかった。かき氷愛好家がゴーラーであるなら、私のように居酒屋愛好家はザカラーとでも呼ぶのだろうか。そのあたりどうでも良いことだが気になる。2020/06/30
なつ
41
今年の夏に読もうと温存していた一冊。奈良と大阪が舞台の、かき氷の冷たく熱いドラマ。最近はかき氷もおしゃれになっているんですね。陶子と母の思い出のかき氷「日進月歩」も彩りが華やかに浮かんできます。かき氷を愛する人達の人情を感じつつ、氷の削り方による食感の変化や蜜の風味と艶が食欲をそそります。2021/08/20
coco夏ko10角
17
かき氷グルメ小説。思い出のかき氷を探したり、あちこちかき氷食べ歩いたり、かき氷コンテストに出場するために練習・研究したり…ひたすらかき氷で夏にぴったりな一冊。2022/08/19
ろここ
16
美味しい小説大賞候補作。かき氷作りで家族の絆を取り戻すお話。いろんな工夫を凝らしたかき氷がたくさん出てくる。氷の削り方から整え方まで、かき氷がこんなに奥深いものだとは知らなかった。シロップと氷の削り方の相性、氷の舌触りや口溶けの差を比べたり、自分で削ったりしてみたくなった〜。通年やってるお店があったらなるべく通おう。かき氷ブームが続きますように。2023/05/04
マッキー
5
実際に存在するかき氷のお店が、店名は伏せられているもののたくさん出てきてテンションが上がった。リアル。かき氷の大会に出るために奮闘する親子や友達、見ててハラハラするところもあったけどかき氷好きだとニヤニヤしてしまうシーンもある。読んでよかった。2021/02/11