大学教授が、「研究だけ」していると思ったら、大間違いだ! 「不人気学科教授」奮闘記

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大学教授が、「研究だけ」していると思ったら、大間違いだ! 「不人気学科教授」奮闘記

  • 著者名:斎藤恭一【著】
  • 価格 ¥1,540(本体¥1,400)
  • イースト・プレス(2020/06発売)
  • ポイント 14pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784781618784

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内容説明

“大学崩壊”なんて嘆いている暇はない!
高校から「模擬講義」を依頼されれば、PRのためにと馳せ参じる。研究室を維持するためには、学生指導と予算確保が欠かせない。組織の一員として働く限り、重たい役職が降ってくる。……教授は水面下で、こんなにも努力している。


【内容紹介】

 東京大学工学部で助教、助教授、そして千葉大学工学部で教授を歴任した斎藤恭一氏。しかし、その所属学科は、放っておいても学生が志望して入ってくるような「人気学科」では決してなかった。
 少子化と大学間競争が激しくなるなかで、高校や予備校に赴いては、学科、学部、ひいては大学の魅力をPRするために「模擬講義」を行う。さらには「理科離れ」を防ごうと、「市民講座」で熱弁をふるう。大学内においては、講義に対して迫りくる学生からの「授業評価アンケート」にもひるまずに、見事に「ベストティーチャー賞」を受賞。ときに学生生活を充実させてあげようと、新入生や学部生を、合宿や工場見学に引率して盛り上げる。大学組織、研究室の運営を円滑に進めるためには、重荷であっても役職に就き、ゼミ生の論文を添削指導する。研究費の確保、研究の実用化を目指して、科研費を確保し、産学連携に務める。
 千葉大学名誉教授が、37年間の研究者、教育者生活のなかで日夜奮闘してきた汗と涙の記録!


【本文より】

「研究」は一人で成し遂げられるものではない!

「あなたの研究の目的とは?」と尋ねられたときに、「発見と発明」、すなわち「『これまでわからなかったことを解明する』『これまでなかったものを発明する』ことをめざして、研究を続けてきました」と言うのが、大学教授として立派な答えかもしれない。
私の場合は、研究とはそんなものではなく、よいときも、そうでないときも、学生との格闘であった。しかし、学生がいたからこそ、研究を続けることができたのは確かである。〈――終章より抜粋〉


【目次】
序章 「大学崩壊」と嘆いても始まらない
第一章 未来ある高校生に必死でPR
第二章 市民にも「理科」に馴染んでもらおう
第三章 「学生指導」はテンヤワンヤ
第四章 大学という「組織」の経営は悲喜こもごも
終章 「研究」は一人では成し遂げられない

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

trazom

72
千葉大教授の著者は、高校や予備校に模擬講義に行ったり、市民講座に出かけたりと、大学のプレゼンスを高めるために血の滲む努力をされている。学内では、学生という「未熟者」と格闘し、教授会などの組織運営に翻弄され、そして、研究資金の獲得に汲々となる。そんな大学教授の悲しい生態を、面白おかしく綴ったエッセイである。「理系こそ国語と英語」という先生の信念には賛成。でも、自らをサービス業だとし、ここまでして手取り足取り学生に阿っている大学の姿は、大学の権威と戦った世代から見ると、滑稽であり、また、悲しくもある。2020/08/15

香菜子(かなこ・Kanako)

27
大学教授が、「研究だけ」していると思ったら、大間違いだ! 。斎藤恭一先生の著書。斎藤恭一先生が研究者としても教育者としても広報担当者としても誠心誠意全力で奮闘されていることがわかる良書。大学教授というと高学歴で上から目線で偉そうな態度で研究や研究生活に没頭している世間知らず人間というイメージを持っている人もいるかもしれないけれど、研究や研究生活だけに集中できるなんて大きな勘違い。斎藤恭一先生のような大学教授が増えればそういう勘違いをしている人も減っていくでしょうね。2020/09/26

kei

21
理系の大学教授と言えば、研究に没頭してて社交的ではなくて…というイメージを持ちがちですがこちらの著者、斎藤氏は不人気学科における学生確保のために日々四苦八苦した25年間他をまとめたエッセイ。高校や予備校を約120校回って、平均80名/回の生徒、保護者に出会ってるとして、1万人の中から著者の研究室にやってきた学生は3人…。現実はとてつもなく厳しい。最終章は研究の予算獲得について書かれていますがたくさんの予算を獲得することのメリット デメリットも書かれていて興味深かったです。2020/10/08

uniemo

15
千葉大学は国立大学の中で志願者数1位とニュースで聞いた気がするのですがその工学部の中でも教授が学生集めに奮闘する不人気学科があることを知りました。著者は自分の研究にも産学連携や学生への指導にも熱心で良い先生です。浪人することも厭わず勉強だけではない高校生活をおくることが創造的な研究を産みだす強みとなり、就職にも繋がっていくというのは年を経た今だとよく理解できました。2021/02/20

tomtom

14
「理科の力が落ちてきているのは、理科を教える時間数が減っていることと、それを理解するための国語力が低下していることが原因だろう。国語力がないとそれ以上の英語力は身につかない」筆者の言う理系こそ国語と英語には少し納得がいった。英語の論文を読まなくてはならないし、卒論を必ず発表しなくてはならない理系には必要なことだと思う。2022/02/28

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