海外文学セレクション<br> ライフ・アフター・ライフ

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海外文学セレクション
ライフ・アフター・ライフ

  • ISBN:9784488016753

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内容説明

1910年の大雪の晩、アーシュラ・ベレスフォード・トッドは生まれた。が、臍の緒が巻きついて息がなかった。医師は大雪のため到着が遅れ、間に合わなかった。しかし、アーシュラは、同じ晩に再び生まれなおす。今度は医師が間に合い、無事生を受ける。同様に、アーシュラは以後も、スペイン風邪で、海で溺れて、フューラーと呼ばれる男の暗殺を企てて、ロンドン大空襲で……、何度も何度も生まれては死亡する、やりなおしの繰り返し。かすかなデジャヴュをどこかで感じながら、幾度もの人生を生きるひとりの女性の物語。ウィットと慈しみに満ち、圧倒的な独創性に驚かされる比類なき傑作。コスタ賞受賞作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アン

104
1910年吹雪の晩、アーシュラは臍の緒が首に巻きつき命を落としますが、次の同じ晩の場面では医師の到着が間に合い無事に生を受けることに。以後アーシュラは幾度となく人生をリセットされますが、前世の記憶を持ち越さずに微かなデジャヴュのような心の働きにより別の人生を生き直すのです。2つの世界大戦を挟み、史実を踏まえながらの過酷な戦時下を勇気を持って生きた人々や破壊された街の描写には圧倒。戦争の傷跡、分岐点での選択、「正しく生きる」とは…。今を無事に生きていることの尊さが胸に迫る独創性に富んだ転生の物語。 2020/08/26

どんぐり

89
「もしもぼくたち人間に、人生を何度もやりなおすチャンスが与えられるとしたらどうかな? 正しく生きられるようになるまで何度も繰り返せるんだ。そうなったら素敵だとおもわない?」のエピグラフ。死んでは何度も生まれ変わる女性アーシュラを主人公に描いたループ小説だ。1910年の雪の日の生誕に始まり、ザ・ブリッツ(ロンドン大空襲)で闇が降りるものの、すんなりとは終わらない。いくつもの物語が時系列もばらばらに連なり、ヒトラー暗殺を企てる異次元の話まである。エンドレスで収束には至らず、途中で飽きてくる。→2023/05/03

ヘラジカ

79
同じ人間の生を、前世の僅かな記憶と共に繰り返し生きる女性の物語。死後転生を扱ったありきたりな設定ながら圧倒的密度で魅せられる。細部へのこだわりから些か冗長に感じられる部分がないではないが、その分SFや幻想文学という枠に収まらない、戦時下イギリスを舞台にした大河小説としても非常に完成度が高かった。これからはデジャヴを感じるたびにこの作品のことを思い出さずにはいられないだろう。姉妹篇(正確には姉弟篇)であり、同じくコスタ賞を受賞した作品も邦訳が楽しみである。2020/05/29

キムチ27

68
冒頭のショッキングな風景❕設定も解らぬまま読んで行くが、チンプンカンプン。何度も挫けそうになる気持ちを奮いたたせ 何とか尾根の稜線へ。そこからは素晴らしき情景。元来SFが嫌いな私、苦手ともいえる程 昔から敬遠気味。だからループ物という語も初めて知った。後半3割を残す辺りは、一気読み 燃えた。頁を閉じるのが惜しい、もう一度読みたいと言う余情。感動というより 生老病死、デジャブ、人生という街道を重い荷物を背負いつつ歩みを進める宿命。岐路,歴史のIFを再考させられる。表示年代が情景の標識であり、その時々の歴史を2020/08/01

ちゅんさん

52
はじめは慣れないループものに苦戦し読みづらかった。でも次第に"闇が下りる"待ちになり、次はどう生きるんだろう?と楽しんで読めた。生き直せることはいいことなのか、生死を繰り返す意味などは正直よくわからなかったけど懸命に生きるアーシュラに心揺さぶられた。分量といい描かれた時代背景といい複雑な構成といい大河小説のような大作。2021/01/18

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