内容説明
ブラームスの音楽の本質・魅力を、ブラームスの人間像も含めて解き明かす。交響曲、協奏曲、ピアノソロ、室内楽等々、幾多の名曲と名演奏を味わう、ブラームス鑑賞の決定版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
la_yamato202
7
前半はブラームスの生涯と作曲活動について、後半は吉田氏の思い入れのある楽曲について演奏CDとともに紹介、解説していく。読みながら氏のお気に入りのピアノ協奏曲やヴァイオリン協奏曲などを自分も聴き直してみて、その味わい深いメロディやハーモニーにあらためて魅了される。2022/02/25
ひでお
6
昔、クラシック音楽を聴き始めたころはブラームスは何故か少し大人の音楽のような気がして敷居が高いような気がしたものです。本書の前半はブラームス論が雄弁に語られます。その中で、クララ・シューマンへのいろいろな意味での愛情と音楽があのブラームスの作品を生んできたことが、改めてよく伝わりました。アリナーゼ部分は私の知識不足から理解に至ってはいませんが、ブラームスの作曲の嗜好というものが何となく腑に落ちたような気がしました。2022/02/16
コチ吉
6
ブラームスは私の偏愛する作曲家である。吉田は例によって多くの譜例を用いたアナリーゼと、時として作曲者や演奏家の人となりにまで言及する。それでいてある曲をもう聴かなくなるかもしれない、と呟き、結局理由が明かされないまま終わってしまう。大家故の融通無碍と許されることなのかもしれない。2020/03/08
どら猫さとっち
5
吉田秀和はとって、ブラームスはなくてはならない思い入れのある作曲家ではないか。彼のブラームス論は長大ながら緻密である。そして指揮者や演奏家の録音の批評も丁寧で細やか。ブラームスの音楽世界は陰鬱で孤独な感じがするが、同時に広大な大地を思い起こさせる。ヴァントやアバド、ミュンシュなどの指揮から、バックハウスミルシテインなどの演奏家まで、幅広い。ピアノ協奏曲第2は好きな曲だが、第1がないのは、あまり得意じゃないからだろうか。2020/07/25
あんさん
4
味わい深い吉田氏の評論集。正直なところ、オーケストラ作品ばかり聴いてきたが、室内楽やソナタも聴いてみよう。2021/08/21