内容説明
わたしたちは、知らないうちに誰かを救っている――。川沿いを散歩する、卵焼きを作る、ココアを頼む、ネイルを落とし忘れる……。わたしたちが起こしたなにげない出来事が繋がっていき、最後はひとりの命を救う。小さな喫茶店「マーブル・カフェ」の一杯のココアから始まる12編の連作短編集。読み終わった後、あなたの心も救われるやさしい物語です。※文中に登場するシドニーの情報は、2017年7月時点のものです。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
1468
連作短編という形式の良さを読ませてくれる作品。なぜオーストラリアで、なぜシドニーなんだろうと思ったら、作者自身の経験を投入してるんですね。だからこそ街が生き生きと描かれているのか。視点はエピソードのたびに入れ替わっていきます。世の中はつながっている。そして見捨てたものではない。世の中のすべてが、こんなに幸せだとまでは言わないけど、こんなふうにみんなが繋がっていければなぁ、と、あたたかい物語の夢を見させてくれた一冊でした。まずは自分からやさしくなろうと、そんなふうに感じます。ココアさんよかったね。2021/08/25
しんごろ
1456
人生いろいろ、そろいも揃った12色。男もいろいろ。女だっていろいろ。それでも、そこには縁がある。縁には距離は関係ないね。それが東京だろうがシドニーだろうが。どこの国だろうと、この物語を読めば、オシャレでナウいカフェに行きたくなる。(ナウいは余計か)それにしても、マスターは只者ではないな。縁がつながり、気持ちがポカポカ、ハッピーにさせてくれる物語。最初も良ければ終わりも素晴らしい。人にオススメできますね。ただし読む時に注意事項があります。読む時はお熱いので、お気をつけください。2020/02/15
さてさて
1354
『スイッチをオンにしたい時にはコーヒーやミントティーを飲むことが多いのですがオフにしてくれるのがココアかもしれません』と語る青山さんが描くココアを書名に冠したこの作品。オンではなくオフの落ち着いた気持ちの中にこそ人生の次の一歩を踏み出す起点は用意されているのかもしれません。ほっこりとした安らぎを私たちに与えてくれるココア。『安心できる信頼感』を与えてくれる飲み物の名前を女性の呼び名にする『僕』の物語が起点となるこの作品。思った以上に深くそれでいて優しく穏やかに語りかけてくれる人の優しさに溢れた絶品でした。2020/12/14
鉄之助
1239
「ココア」だったからこそ、心に” しみる” 気がした。香りが優しく、誰もが味を思い浮かべることができる…蠱惑的な飲み物だ。どの掌編も、ココアのようにホッとなごむ、こころ癒される作品だった。2025/11/03
うっちー
1113
一気読み。嫌な人が一人もいなくて、いい人ばかりで、ほんわか読後感。2020/09/13




