内容説明
近年、テレビには現役音大生や音大卒業生というアーティストやタレントがあふれ、音大生を題材にした漫画や映画、小説などもよく目にします。本書は、都内の主要音楽大学に通う現役音大生・音大卒業生の取材と現地調査をもとに、謎のヴェールに包まれた音大生の生活を、音楽には挫折し続けてきたという美大出身の辛酸なめ子さんが、独自の切り口と視点で分析し、読み物としてまとめたものです。周りからは「ちょっと変」と思われるような習慣でも、音楽という特殊な才能を持った音大生にとっては、いたって普通のことばかり。そんな才能と夢と希望のヴァイブスにあふれた音大ライフの魅力を、リスペクトと憧れを持ちながら、徹底レポートします。また、音大卒業生代表として、作曲家・ピアニストとして活躍されている新垣隆さんと辛酸さんとの特別対談も収録。音大卒業生、現役音大生、音大受験生、音大生が身近にいる人、音大生の恋人が欲しい人、音大に興味がある人、興味がなかった人にも、全ての人に贈る、ありそうでなかった、音大生の変わった生態に迫る本です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てふてふこ
52
同じ芸術系とはいえ、音楽と美術ではぜんぜん違うのですね…。音大でも、「器楽科」「声楽科」等で、その生態は異なる。声楽科は霊感が強い、音大生はバッハ、モーツァルトが嫌い等、実際通わなければ分からない事ばかりでした。絶対音感より相対音感が大事、も以外でした。「芸のこやし」が度々出てきます、納得です。自分にとって非現実で面白かったです。2024/12/16
キク
49
弁護士や医者になる人達の歩むルートは、なんとなくイメージできる。レベルは大きく違うけど、多分同じレースに参加していたから。でも音楽家となると、そのレース内容どころか、参加申請手順からわからない。で、わからない世界については、覗き見をしたくなる。芸大や音大関連の本がチョコチョコ出ているから、多分みんなそうなんじゃないだろうか。読んで思ったのは「実家が太いかどうかがこんなに影響しちゃうんだ」ということだった。音楽とフィギュアスケートと卓球のエリートと、実家環境の関係性を誰か調べて本にしてくれたらすごく読みたい2024/10/27
R
35
様々な音大にインタビューや見学、学園祭突撃なんかをして、学生さんたちの実態をレポートした本でした。思ったよりもおとなしいというか、破天荒さは控えめな内容でまったり読めました。著者の貧乏僻みがやや多いものの、音大生の苦労や、音大あるある的な話、やや闇を感じさせる噂話など、それなりに面白いのだけども全体的に綺麗にまとまりすぎてて、大人しい印象。穏やかにまとまった本でした。2020/08/06
アコ
24
音大生の生態に迫る取材本。自虐まじりの文体など著者らしさはあるも、内容があまりに浅くて軽い。現地取材の内容も微妙で音大潜入を楽しんだだけにも見える。なんだろう、たまたま学校・専攻が異なる音大卒の友人が数名いて、彼らからもっと興味深い話やエグい話を聞いていたのもあるかと。(遠距離レッスンや就職難、学校や専攻間のマウントとか…)著者ほど音大や音大生がミステリアスな存在ではないようだ。新垣隆氏との対談はよかった。2020/11/12
阿部義彦
16
武蔵美短大卒業のイラストライターの辛酸なめ子さんが音大生の世界をレポートした本です。美大は貧乏人対して音大は金持ちのお嬢様おぼっちゃまと言う世間的見方があるが、果たして本当なのか。音大生に取材したり、学園祭に参加したりの音大生解体新書。天下の藝大の文化祭では演奏会を聞くのも申し込んで抽選をクリアしないと、参加出来ないなんて。藝大に受かるより難しいと、愚痴るおじさん多数。自宅の人は既に練習場所が有るが練習場所の確保だけでも頭を悩まします。トランペット男子はモテるらしい。バッハとモーツァルトは嫌われる等。2024/06/01